百合ライトノベルは近年、キャラクターの心理描写や関係性の深度を重視する作品が増え、
感情のリアリティを求める読者から強い支持を集めています。
単純な女性同士の恋愛だけでなく、友情・憧れ・依存など、複雑な感情が交差する構造は他ジャンルにはない独特の読み応えを生み出していますね。
この記事では、数ある百合ライトノベルの中から2023年以降に書籍化された作品をいくつかご紹介していきます。
ネタバレ無しなのでご安心を。
・週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~
羽田 宇佐/U35 KADOKAWA 2023年02月17日
| 著者 | 羽田宇佐 |
| イラスト | U35 |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | ファンタジア文庫 |
| 既刊 | 9巻 |
| 新刊発売予定日 | 2026年秋頃 |
おすすめポイント
『週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~』は、女子高生同士の少し不思議な関係から始まる、繊細なガールズラブ作品。物語の中心となるのは、クラスメイトの宮城と仙台。県名や都市名ではなくキャラクター名。性格も考え方も異なる二人ですが、あることをきっかけに、宮城が仙台に「五千円を払って、一緒に過ごしてもらう」という奇妙な関係がスタート。週に一度、決められた時間だけ二人きりになる。ただそれだけの約束だったはずが、何気ない会話や一緒に過ごす時間を重ねるうち、二人の間には少しずつ特別な感情が芽生えていくーーそんな物語。本作の最大の魅力は、二人の距離が一気に縮まるのではなく、ほんの少しずつ変化していくところ。嬉しさ、戸惑い、嫉妬、寂しさといった感情が丁寧に描かれ、「この二人は今、相手のことをどう思っているのだろう?」と想像しながら読めるところ。会話や仕草、沈黙の一つひとつから二人の関係性を味わうタイプの作品なので、じれったくも美しい青春百合が好きな人には特におすすめ。
おすすめ度:
★★★★★
・ステラ・ステップ
林星悟/餡こたく KADOKAWA 2023年01月25日
| 著者 | 林星悟 |
| イラスト | 餡こたく |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | MF文庫J |
| 既刊 | 2巻 |
| 新刊発売予定日 | 未定 |
おすすめポイント
『ステラ・ステップ』は、荒廃した世界を舞台に、歌うことを宿命づけられた少女たちの姿を描く、SF要素とガールズラブが融合したライトノベル。舞台となるのは、隕石の落下によって大きく変貌してしまった世界。人々の暮らしが厳しく制限される中、”アイドル”と呼ばれる少女たちは、歌やパフォーマンスによって人々に夢を与える一方で、国家によって厳しく管理されています。そんな世界で、それぞれ異なる事情を抱えた少女たちが出会い、少しずつ互いの心に触れていく物語。本作の魅力は、きらびやかなアイドルという題材の裏側にある、少女たちの切実な感情を丁寧に描いているところ。友情、信頼、憧れ、そして誰かを大切に思う気持ちが、過酷な世界観の中だからこそ強く胸に響きます。SFとしての世界設定もしっかり作り込まれており、単なる「かわいい女の子たちの物語」に留まらないバランスの取れた作品となっています。百合だけでなく、しっかりした物語も楽しみたいという人には特におすすめ
おすすめ度:
★★★☆☆
・少女の望まぬ英雄譚
| 著者 | 賽目和七 |
| イラスト | ハナモト |
| 種類 | 単行本 |
| レーベル | TOブックス |
| 既刊 | 2巻 |
| 新刊発売予定日 | 未定 |
おすすめポイント
『少女の望まぬ英雄譚』は、圧倒的な軍事的才能を持つ少女と、彼女を取り巻く人々の絆を描いた、戦記ファンタジー。主人公は、アルベラン王国の将軍として名を馳せる少女・クリシェ=アルベリネア=クリシュタンド。軍事と魔術において類まれな才能を持ち、戦場では冷徹な判断を下す彼女は、後世から「軍事史上最高の天才」「冷酷な殺戮者」とまで評される人物。しかし、そんな彼女の素顔は、料理と食事が大好きで、大切な人には甘えたがる、どこか幼く愛らしい少女。そんな「英雄」と「ひとりの少女」という二つの顔のギャップこそ、本作最大の魅力です。物語は、平穏な日々を望むクリシェの願いとは裏腹に、戦争や政治、さまざまな思惑が絡み合う過酷な世界へと彼女を導いていきます。圧倒的な強さを持つ主人公が活躍する爽快感はもちろん、戦術や軍勢同士の駆け引きなど、戦記ものとしての読み応えも十分。ただし、百合成分が強すぎると感じる人もいるかも…
おすすめ度:
★★★☆☆
・性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話
犬甘 あんず/ねいび KADOKAWA 2023年12月01日
| 著者 | 犬甘 あんず |
| イラスト | ねいび |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | 角川スニーカー文庫 |
| 既刊 | 4巻 |
| 新刊発売予定日 | 完結 |
おすすめポイント
『性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話』は刺激的なタイトルとは裏腹に、少女同士の複雑な感情と距離感をじっくり描いたガールズラブ作品です。第28回スニーカー大賞で金賞を受賞したことでも注目を集めました。主人公・吉沢わかばと成績優秀で容姿端麗、何でもこなす完璧な幼馴染・梅園小牧。昔から何かにつけて勝負を繰り返してきた二人ですが、わかばは小牧に挑んでは負け続け、ついにはファーストキスなど、自分にとって大切な「初めて」まで奪われてしまうことに。
本作の魅力は、そんな二人の関係性。負けず嫌いなわかばと、余裕たっぷりに彼女を翻弄する小牧の掛け合いが楽しく、単なる幼馴染では片付けられない感情が少しずつ浮かび上がっていきます。嫉妬や意地、悔しさの中に隠された「好き」という気持ちを丁寧に描いているのもポイント。少し刺激的でじれったい百合ラブコメを楽しみたい人におすすめ。
おすすめ度:
★★★★☆
・新しくできたお姉さんは、百合というのが好きみたい
アサクラ ネル/かがちさく KADOKAWA 2024年11月08日
| 著者 | アサクラ ネル |
| イラスト | かがちさく |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | 電撃文庫 |
| 既刊 | 1巻 |
| 新刊発売予定日 | 完結 |
おすすめポイント
『新しくできたお姉さんは、百合というのが好きみたい』は、ひょんなことから姉妹になった二人の女性を中心に描く、ちょっと変わったガールズラブコメディ。春夏は、仕事を辞めて実家で暮らす、おっとりとした女性。そんな彼女の前に現れたのが、仕事一筋でクールな義姉・沙織。一見クールな沙織ですが「本百合」であり、義妹となった春夏に一目惚れ。本作の魅力は、「家族として仲良くなりたい」という気持ちと、「一人の女性として惹かれている」という感情の間で揺れる沙織の葛藤。二人の何気ない同居生活や会話の中に、少しずつ変化していく関係性が丁寧に描かれています。大人の女性同士だからこその不器用な恋愛を楽しみたい人におすすめ。
おすすめ度:
★★★★☆
・人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話
入間 人間/猫屋敷 ぷしお KADOKAWA 2024年09月10日
| 著者 | 川上しをん |
| イラスト | 入間人間 |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | 電撃文庫 |
| 既刊 | 3巻 |
| 新刊発売予定日 | 完結 |
おすすめポイント
『安達としまむら』などで知られる入間人間氏による百合作品。高校教師で20代後半の既婚者・苺原樹が教え子の女子高生・戸川凛に手を出してしまう物語。タイトルからかなり攻めていますが、単なる刺激系ではなく、入間人間氏らしい独特の人物描写・会話・距離感が魅力。許されない関係、危うい関係の中、必死に理性を保とうとする教師が歯止めが効かずに恋に落ちていく様が上手く描写されていました。過激な印象もありますし実際にそのような場面もありますが、どこか純粋であたたかな気持ちにもなれる作品。百合だけど普通の百合ラノベとは少し違うものを読みたい人におすすめ。ただし、人を選ぶ作品であることも確か。
おすすめ度:
★★★☆☆
・アフタヌーンティーはいかがですか? 私と先輩の、不純で一途なふたり暮らし
桃田 ロウ/塩こうじ KADOKAWA 2025年03月19日
| 著者 | 桃田ロウ |
| イラスト | 塩こうじ |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | ファンタジア文庫 |
| 既刊 | 1巻 |
| 新刊発売予定日 | 未定 |
おすすめポイント
『アフタヌーンティーはいかがですか? 私と先輩の、不純で一途なふたり暮らし』は「好きになってはいけない」と思うほど、相手の存在が気になってしまう――そんな恋の厄介さを楽しめるガールズラブ作品。主人公・青澤かなたは、大学進学をきっかけに、二歳年上の先輩・一ノ瀬結衣とルームシェアをすることに。結衣は美人で自由奔放、しかも女たらし。そんな彼女から「恋愛対象外」と告げられたかなたは、結衣が誰と過ごそうと関係ないと思っていたはずなのに、同じ屋根の下で暮らすうち、その言葉だけでは割り切れない感情を抱くようになっていきます。先輩の余裕と後輩の戸惑い。その間にある曖昧な距離感がじれったく、甘さだけでは終わらないのもポイント。恋人になる前の、一番もどかしい時間を味わいたい人におすすめ。物語は完結していませんが続編があるかどうか不明なところはマイナスポイント。
おすすめ度:
★★★☆☆
・だれがわたしの百合なのか!?
悠木 りん/万冬 しま 小学館 2025年05月19日頃
| 著者 | 悠木りん |
| イラスト | 万冬しま |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | ガガガ文庫 |
| 既刊 | 2巻 |
| 新刊発売予定日 | 未定 |
おすすめポイント
『だれがわたしの百合なのか!?』は、「自分を好きなのは、いったい誰?」という小さな謎をきっかけに、少女たちとの距離が思わぬ方向へ動き出していくガールズラブコメ。主人公は、いたって平凡な女子高生・並木ひと葉。ある日、生徒会室で自分宛ての匿名のラブレターを見つけたことから物語は始まります。差出人が手紙を残せた可能性があるのは、生徒会室に出入りしていた3人の少女。才色兼備な生徒会長候補・才原京、誰とでも仲良くなれるギャル・小内鹿乃愛、そして校内に多くのファンを持つ神絵師・吉野咲姫。ひと葉は「リリー」と名乗る差出人を探すため、なんと3人それぞれとデートすることに・・本作の面白さは、恋愛と謎解きが同時に進んでいくところ。ひと葉は「犯人を探している」つもりなのに、デートを重ねるほど相手の意外な一面が見えてきます。誰が手紙の送り主なのかを考える楽しさと、「もしかして、この子も……?」という期待が交互にやってくる構成は、百合ラブコメとして一味違った魅力を持っています。個人的に謎解きやミステリー作品が好物なので恋愛ミステリー風味の百合ラノベである本作はお気に入り。
おすすめ度:
★★★★★
・人生全部賭けても、銀の魔女に勝ちたい
深水紅茶/ネコ太郎 KADOKAWA 2026年02月20日
| 著者 | 深水紅茶 |
| イラスト | ネコ太郎 |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | ファンタジア文庫 |
| 既刊 | 1巻 |
| 新刊発売予定日 | 2026年8月20日 |
おすすめポイント
『人生全部賭けても、銀の魔女に勝ちたい』は負けず嫌いを極限まで突き詰めた少女たちの、熱くて甘い学園百合ファンタジー。伯爵令嬢フランは、家柄も容姿も魔法の才能も恵まれた少女。しかし十歳のとき、銀髪の少女クルーエルに完膚なきまでに敗北する。その悔しさを胸に、五年間ひたすら努力を重ねたフランは、再び宿敵と魔法学院で再会。ところが、再戦を望んでいたクルーエルは、特殊な体質によって魔法が使えず、退学の危機に陥っていた。そこでフランは、宿敵を救うために魔力供給に協力することに。勝つために近づいたはずなのに、手を繋ぎ、抱きしめ、さらにはキスまで必要になるという、ライバルものとしてはあまりにも距離感のおかしい展開。単純な「天才VS秀才」では終わらず、敗北をバネに成長した少女と、才能を持ちながら自分ではどうにもならない事情を抱えた少女が、ぶつかり合いながら互いを理解していく。その不器用な関係性こそが本作最大の魅力と言えるでしょう。
おすすめ度:
★★★★☆
・モブ少女がラスボス魔女を幸せにするまで
鴉 ぴえろ/ちょこ庵 KADOKAWA 2026年02月20日
| 著者 | 鴉 ぴえろ |
| イラスト | ちょこ庵 |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | ファンタジア文庫 |
| 既刊 | 2巻 |
| 新刊発売予定日 | 未定 |
おすすめポイント
『モブ少女がラスボス魔女を幸せにするまで』は少女たちの運命改変ガールズファンタジー。ゲーム世界に転生した主人公が「ラスボスを倒す」のではなく、「ラスボスを幸せにする」という逆転の発想が本作最大の魅力。主人公は、勇者でも聖女でもない普通のモブ少女。特別な力を持たない彼女が、未来を変えるために魔女へ寄り添っていく姿が胸を打ちます。世界を救う壮大な物語でありながら、軸にあるのは二人の少女の心の距離感。小さな優しさが運命を変えていく、温かくて先の展開が気になる作品です。『転天』作者・鴉ぴえろ氏の作品で完成度も高く読みやすいのも特徴。
おすすめ度:
★★★★☆
・嫌い同士のわたしたちは一夜の過ちで
4kaえんぴつ/久賀 フーナ KADOKAWA 2026年05月29日
| 著者 | 4kaえんぴつ |
| イラスト | 久賀 フーナ |
| 種類 | 文庫本 |
| レーベル | 角川スニーカー文庫 |
| 既刊 | 1巻 |
| 新刊発売予定日 | 完結 |
おすすめポイント
「大嫌いな相手」と、まさか一夜を過ごしてしまうなんて。『嫌い同士のわたしたちは一夜の過ちで』は、最悪の関係から始まる二人の恋模様を描いた、ドキドキ必至の百合作品です。けれど本作は、単純な「嫌い→好き」の作品ではありません。特に魅力的なのが、相手のことを知るほど「嫌い」という感情だけでは片づけられなくなっていく二人の心理描写。最初は価値観も性格も噛み合わないからこそ、相手の意外な一面に気づいたときの変化が強く印象に残ります。さらに二人がともに「創作」に関わっていることも、本作ならではのポイント。恋愛だけでなく、才能へのコンプレックスや創作に対する苦悩、誰かに理解してほしいという孤独まで描かれるため、二人の関係には単なる甘さとは違う深みがあります。「嫌いだからこそ、相手のことが気になる」。そんな矛盾した感情を丁寧に積み重ねながら、少しずつ距離を縮めていく二人。勢いだけで恋に落ちるのではなく、互いの傷や不器用さを知ることで関係が変わっていく。そんな大人っぽい百合を楽しみたい人にこそ刺さる作品です。
おすすめ度:
★★★★☆
今回は、個性豊かな百合系ラノベを紹介してきました。王道の恋愛やファンタジーはもちろん、ひとクセある設定や、思わず続きが気になってしまう関係性を描いた作品まで、それぞれ違った魅力を持つ作品ばかりです。気になるタイトルがひとつでも見つかったなら、ぜひこの機会に手に取ってみてください。随時更新していきます。
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