3月8日に開催された東京五輪女子マラソン代表、最終選考レース【名古屋ウィメンズマラソン2020】を終え3名の代表が決定した。
東京五輪マラソン代表の選考については、選考基準を明確化にするためにMGCシリーズという新しい形を試み、選手や応援する側が納得しやすい結果となったのではないだろうか?
個人的には100点満点とまでは思わないけれど以前に比べ格段に良い選考の仕方になったのではないかと感じている。
東京五輪女子マラソン代表3名
・前田穂南
・一山麻緒
上記した3名が東京五輪女子マラソン代表に決定した。
MGCを圧勝した前田穂南(天満屋)と同レース2位の鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)。
そしてMGCファイナルチャレンジで派遣設定タイム2時間22分22秒を上回り最も速いタイムを出した一山麻緒選手(ワコール)の3名。
代表選考はどのような形で行っても必ずA選手よりB選手を選んだ方が良かったなどという声が聴かれるが、決まったルールの中で選考された3選手に対し、どうこういうのは大きな間違い。
本番で良い結果をを出してもらえるよう我々に出来る事は応援する事だけだと思っている。
一昔前までは女子マラソンと言えば日本の御家芸的な見方をされていたが、近年は世界のトップ選手達とは実力の差が大きく、長きに渡り低迷していた。
しかし、自国開催のオリンピックという事でMGCシリーズという選考方法を用いた事が女子マラソン復活への第一歩になったような気がする。
東京五輪女子マラソンで日本の3選手は活躍できるのか?
まずは2019年9月のMGC本番を圧勝した前田穂南選手。
その後も駅伝やハーフマラソンに出場し好成績を収めている。
先日、行われた【青梅マラソン】では野口みずきさんが保持していた30kmの日本記録&大会記録を更新し強さを証明。
大きなストライドと無駄のないフォームでスタミナ型の選手だがスピードを持続する練習を行った事でレベルアップした印象。
青梅マラソン前に体調不良や脚の軽い故障で練習を休んだそうだが、それが功を奏し、いつもより少し体重が増えリフレッシュした状態でレースに臨めた事が本人的にも大きな収穫だったようだ。
非常に安定感のある選手で特に夏場のレースでの強さは日本人の中では抜きん出ている。
青梅マラソンの走りを見る限り気象条件とある程度フラットなコースであれば2時間18分~19分で走る力は備えているだろう。
気掛かりなのはシューズ。
アシックスと契約しておりCMにも出演している。今、流行のヴェイパーフライネクストやアルファフライネクストを履ける可能性は少なく、大きなハンデを背負う事になりそうだ。
厚底シューズに関しては合う合わないなどの話が出る事も多いが、基本的に初期のヴェイパーフライと比べ多くのランナーに合うように設計されているようだし、合わないという話を聞く事はあまりない。
前田選手は日本人選手の中ではかなり大きなストライド走法でもあり合う可能性は極めて高いのではないかと個人的には思っている。
しかし、シューズに関しては所属チームと契約しているメーカーの事もあり前田選手自身が簡単に決めれるものではないだろうしデリケートな問題。
現状、履いていると思われるアシックスのレディ ソーティ マジックLTでも相当、強い事は証明済みで五輪本番でも入賞を狙えるところにはいると考えているがアルファフライネクストが前田選手にフィットすればメダルの可能性も少なからずあると思っている。
NIKEの厚底でなくともアシックスから4月に発売される最新のメタレーサーを履くという手段もあるが、どのくらい効果があるか分からないシューズなので何とも言えないところだ。
シューズの話をしたがどのようなシューズを履こうとも前田選手が普段、辛い練習を重ね努力し、強い選手である事は疑いようのない事実だ。
五輪本番で良い走りを見せてくれることを期待している。
続いてはMGC本番2位で代表に内定していた鈴木亜由子選手。
中学時代から騒がれた天才ランナーで非常にファンの多い選手。
トラックでの五輪出場経験もあり、今回、選出された3名の中ではお姉さん的な立場にあるように思う。
鈴木選手はまだマラソン経験が2回でいずれも夏場のレースに出場しているので持ちタイムは良くない。
暑さは得意だと鈴木選手自身が豪語していたがMGC本番では前田穂南選手に3分以上の大差を付けられてしまった。
現在は軽い肉離れで本格的な練習は再開できていない模様。
本番までにハーフマラソン以上の距離を走り、ある程度の成績を収めなければ五輪本番を迎える事ができないが、その条件をクリアしていない。
マラソン経験が少ないので伸びしろも十分だとは思うが、順調に調整できていなのとMGCでの後半の走りを見ると大きな期待をするのは難しそうだ。
まずは怪我を治し、強度の高い練習に取り組んでレベルアップしないと本番で良い結果を残す事は無理だろう。
最後は名古屋ウィメンズマラソンで国内最高記録(2時間20分29秒)を樹立した一山麻緒選手。
雨の降る、けっして良い条件とは言えない中でのレースだったが後半、自ら仕掛け後続を千切ったレース振りは圧巻の一言。
非常に内容の濃い練習を積めたと語っており自信を持ってレースに臨めたようだ。スタート前の脚を見てもかなり作ってきたなという印象があったが練習は裏切らないという事を身をもって証明してくれたように感じる。
一山選手は日本人選手の中ではスピード能力が高く、寒さに強い印象。だからといって暑さに弱い訳ではないので五輪本番でも入賞ラインを目指せる能力はあると思っている。
前田穂南選手と同じく更なる成長を見せれば2時間18分~19分で走る能力は持っているだろう。
NIKEの厚底シューズアルファフライネクストを履き、大きめのストライドで跳ねるように走りは見ていて気持ち良かった。
最終選考レースで国内最高記録を樹立するなど精神的にも強そうなので期待できそう。
松田瑞生選手が「名古屋ウィメンズマラソンで私の記録より速く走る選手はいないと思う」的な発言をしていたので誰か意地でも抜いてくれと思っていたが、一山選手があっさり抜いてくれた事で個人的には爽快だった。
松田選手の事が嫌いな訳ではないが余計な事は言わない方が身の為だと改めて感じた。
一山選手に関してはポジティブな面が多くあまり心配する部分はないが、1年間で相当数のレースに出場しているので疲労や怪我などが少しだけ心配。五輪までの時間は短いが少しリフレッシュしてから追い込んで欲しいなと思っている。
前田選手や一山選手のような若くて沢山の練習を積んで強くなった選手が出現した事で女子マラソン復活の可能性を大きく感じる。
しかし、現状のままではメダル争いは厳しく入賞争いが現実的だと私個人は思っている。
本番までに更に成長し最高のコンディションで臨む事でやっとメダル争いできる位置にいけるだろう。
代表の3選手には是非、怪我無く厳しい練習を積んでいってもらいたい。
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