1990年代から2000年代前半までは日本の御家芸的な種目で合った女子マラソンだが近年はレースの高速化により世界に差を付けられ低迷している。
オリンピック、世界陸上では【世界陸上モスクワ大会】で福士加代子選手が銅メダルを獲得した他は近年、目立った成績を残せていない。
そんな中、5月28日に【世界陸上ドーハ大会】マラソン女子日本代表選手が発表された。
今回は日本代表に選ばれ期待の掛かる3選手をPICKUP。
2019世界陸上ドーハ大会マラソン女子日本代表選手
まずは簡単なプロフィールから。
谷本観月(たにもとみずき)
生年月日:1994年12月18日 24歳
出身地:岡山県
出身校:鈴峯女子高校
所属:天満屋
身長・体重:153cm・42kg
マラソン自己ベスト記録:2時間25分28秒
高校時代まで目立った成績を残していた訳ではなく全くの無名選手だったが高校卒業後はマラソンの名門【天満屋】に入り着実に力を付けている。
2018年の【北海道マラソン】では3位に入り、今年の【名古屋ウィメンズマラソン】では2時間25分28秒の自己ベストを記録。東京オリンピックマラソン代表選考会【MGC】(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を得ている。
中野円花(なかのまどか)
生年月日:1991年8月14日 27歳
出身地:大阪府
出身校:大阪薫英女学院高校
所属:ノーリツ
身長・体重:156cm・42kg
マラソン自己ベスト記録:2時間27分39秒
高校3年次にインターハイ大阪府大会の1500m・3000mの二冠を達成。
高校卒業後は【ノーリツ】に入社。
今年1月の【大阪国際女子マラソン】では自己記録を4分以上も更新する2時間27分39秒で走りMGC出場権を獲得。地味なタイプの選手だが今現在、非常に充実しているように感じられる。
粘り強い走りが信条だ。
池満綾乃(いけみつあやの)
生年月日:1991年4月18日 28歳
出身地:鹿児島県
出身校:鹿児島情報高校
所属:鹿児島銀行
身長・体重:162cm・50kg
マラソン自己ベスト記録:2時間26分07秒
池満選手も谷本選手と同様、高校時代は目立った成績を残せなかったようだ。
高校卒業後は地元の【鹿児島銀行】に入社。トラックの1500mから始まり、徐々に距離を伸ばしていきハーフマラソンを経て現在はマラソンで活躍している。
今年3月に行われた【名古屋ウィメンズマラソン】に出場し、自己記録を5分以上縮める2時間26分07秒で日本人5位となりMGC出場権を獲得。後半失速した事を反省点に挙げていたが、課題を克服すれば更に良いタイムを出せるだろう。
簡単なプロフィールだが経歴や持ちタイム、現在の充実度などよく似た3人だと感じる。3選手とも実業団チームに入り地道な努力を積み重ね才能が開花したのだろう。
3選手とも、9月15日に開催されるMGCの出場権を得ていたが9月27日に開幕する世界陸上ドーハ大会の日本代表に選ばれた為、MGCには出場しない。
つまり、谷本選手、中野選手、池満選手の3名は【MGCファイナルチャレンジ】で派遣設定記録2時間22分22秒以内のタイムを指定されたレースに参加し記録しなければ【東京オリンピック】のマラソン代表に選ばれないという事になる。
正直、現段階での3選手の記録を見るとMGCに出場して東京オリンピックの代表に内定するのは厳しいと思えるので世界陸上に日本代表として出場できるのは悪くない事だと思う。
しかし、谷本選手はタイムこそ物足りないがマラソンでは常に積極的なレースを試み伸びしろを感じさせる。MGC出場権を獲得している同じ天満屋所属の小原怜選手や前田穂南選手が最近、調子を落としているような感じもあり、MGCに出場すれば天満屋勢の中でトップでゴールする可能性すらあると思っていたので個人的には複雑な思いもあるというのが正直なところ。
カタール・ドーハの気候・女子マラソンの開催日時
女子マラソンは大会初日、現地時間の真夜中に開催される事が決まった。
ちなみに日本時間では9月28日(土)午前6:00となっている。
何故、真夜中にレースがスタートするのかというと高温多湿で日中にかなりの高温に達すると予想されているからだ。
9月でも日中は40℃近くまで気温が上がり、夜中の時間帯でも30℃近い気温があるとのこと。
近年の日本の真夏と同等かそれ以上の暑さという事になる。
日中にマラソンを走ったら冗談抜きで死者が出る可能性すらあるので、真夜中にスタートするのは仕方ない事だろう。
日本時間で土曜日の午前6時にスタートするという事なので仕事が休みの方も多いだろうし、少し早起きすればテレビ観戦できるので個人的にはありがたい。
入賞に期待!?
タイム的な観点で言うと正直、入賞すらも厳しいと予想される。
ケニアやエチオピアの選手に至っては2時間20分を切る記録を持つ選手が複数おり2時間20分前後の記録は当たり前のように持っているなかで日本の3選手は2時間25分さえも切れていない。
しかし、出場する限りは入賞の可能性は0ではないはずだ。
走力で勝てないのであれば過酷な条件を味方にするしかない。
前述した通り高温多湿の中でのレースが予想される。日本人3選手に不向きなスピード勝負にはならないだろう。
だからと言ってスローペースで進んで行ってもスパート勝負では勝ち目がない。つまり日本人選手が耐えれるスピードである程度引っ張り海外選手の体力を消耗させるか、ハナから先頭集団に付く事を諦め第2集団辺りから落ちて来る選手を粘り強く拾っていくしかない。
そして暑さに強くなければ、どんな戦略を取ろうが無意味だろう。
可能性は0ではないと書いたが考えれば考えるほど、0に近いと思えてくる💦
この世界陸上マラソン女子日本代表に本人達が望んで選出されたのか渋々、承諾したのかは分からないが出場すると決まったのであれば日本代表として素晴らしいレースを見せて欲しいし、見ている側が熱くなれるようなレースを期待したい。
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