2019年9月15日に開催される。【MGC・マラソングランドチャンピオンシップ】
女子は15名が出場権を獲得したが世界陸上選手権女子マラソンに出場する3選手は出場辞退となり12名で争われる予定だ。
MGCは東京オリンピックのマラソン代表を決める重要な大会である為、非常に注目度が高い。
そこで今回からMGCに出場する選手を1名ずつ紹介していこうと思う。
第1回目は小原怜選手をPICKUP。
小原怜 プロフィール
名前 | 小原怜(おはられい) |
生年月日 | 1990年8月10日 28歳 2019年7月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 岡山県 |
出身校 | 興譲館高等学校 |
所属 | 天満屋 |
身長・体重 | 165cm・47kg |
種目 | 自己ベスト |
1500m | 4.19.16 |
3000m | 9.11.11 |
5000m | 15.39.47 |
10000m | 31.48.31 |
ハーフマラソン | 1:09.17 |
フルマラソン | 2:23.20 |
小原怜選手は女子駅伝の名門校である岡山県の興譲館高校出身。
高校時代は3年連続で全国高校女子駅伝に出場。3年次にはエース区間である1区を任され区間賞を獲得している。
しかし、小原選手が在学している間、興譲館高校は安定した成績を残すも総合優勝には手が届かなかった。
高校卒業後は地元企業である名門、天満屋に入社。
天満屋は過去に4大会連続でオリンピックのマラソン代表選手を輩出している。
・坂本直子ーアテネオリンピック
・中村友梨香ー北京オリンピック
・重友梨佐ーロンドンオリンピック
入社2年目の2010年には【全日本実業団対抗女子駅伝競走大会】の2区を任され天満屋の総合優勝に大きく貢献。
順調に成長し2015年には【名古屋ウィメンズマラソン】でマラソン初挑戦。
しかし、給水で転倒した影響か3時間5分21秒というタイムで惨敗した。
同年6月、【日本陸上選手権】10000mに出場し3位入賞。この結果、8月の【世界陸上選手権北京大会】の10000m代表に選出された。世界陸上選手権本番では32分47秒74で22位という結果におわっている。
1秒差の悲劇…
2016年の名古屋ウィメンズマラソン。
そこに小原選手の姿があった。
初マラソンのの時とは違い【リオデジャネイロオリンピック】代表選考会を兼ねたこのレース。
前年の【世界陸上選手権】女子マラソンで7位入賞を果たした伊藤舞選手(大塚製薬)が代表内定。【大阪国際女子マラソン】で好タイムで優勝した福士加代子選手(ワコール)が事実上の内定となっており残された枠は1つという状況で迎えた。好記録で日本人1位を獲得する必要がある。
レースは30km手前でスパートをかけたキルワ選手を田中智美選手(第一生命G)が単独で追いかける形になるが37km付近で小原選手が田中選手に追いつく。ここからは両者、譲らず並走しゴールの名古屋ドーム内へ。最後の最後までどちらが勝つか分からない展開だったがゴール直前のスパート力で勝った田中選手が先にゴールイン。小原選手は1秒差の2時間23分20秒の好タイムでゴールするもリオデジャネイロオリンピック代表争いに敗れた事を悟り、その場で倒れ込んで大号泣。見ている方も非常に辛い映像だった。
レース後のインタビューでは「私にはまだ10000mが残っている」と前向きなコメントをしたのも個人的には印象的だった。
成長と原因不明の不調
リオデジャネイロオリンピック出場を逃した小原選手だが、その悔しさが彼女を強くした。
2016年12月に行われた【山陽女子ロードレースハーフマラソン】で優勝。
2017年1月の【大阪ハーフマラソン】でも優勝し、ひと皮むけたか印象を与える。
絶好調の小原選手は同年2月に米国合宿に出発。
しかし、合宿中に左足甲を疲労骨折。
怪我だけならまだ良かったが、小原選手はこの怪我を境に走りの感覚が狂ってしまう。
力が入らなくなったり、バランス感覚が狂い片足立ちができないなどアスリートとしてはかなり深刻な状況に陥ってしまう。病院で診察を受けても理由はハッキリとせず、もどかしい日々を送ることに。
このような状況が1年続き走る事をやめたいと思った時期もあったようだ。
それでも、翌年の【函館ハーフマラソン】に出場し順位もタイムも良いものではなかったが最後まで走り抜いた。その後も【ベルリンマラソン】や【クイーンズ駅伝】に出場するも小原選手らしい走りを披露する事は出来なかった。
復活の兆し
長い期間もがいてきた小原選手だが【東京オリンピック】の代表選考会である2019年の大阪国際女子マラソンに出場。
小原選手の場合は期間内に出場したレースの上位2つタイムの平均が2時間28分以内という事でワイルドカードでのMGC出場を決めている。
それでも走れない期間が長く不安を感じていたのではないだろうか?
このレースを迎える前にも肋骨を炎症し2週間ほど走れない時期があるなど万全の状態ではなかったと思う。
先頭集団でレースを進めた小原選手。途中、福士選手が転倒して巻き込まれそうな場面もあったが上手くかわした。
30km付近でスパートをかけるも外国人選手を離し切れない。35km付近でも再びスパートをかけるが、これも不発。その後は優勝したファツマ・サド選手に千切られ2時間25分46秒のタイムで2位でのフィニッシュとなった。
レース後は「正直、不完全燃焼。自分の弱さを感じた」とコメント。
所属する天満屋の武富監督も「心の弱さが出た。仕掛けたのにペースを落とした」と厳かった。
それでも「期待しているから殻を破って欲しかった」という愛情が溢れるコメントも残していた。
MGCに向けて・東京五輪マラソン代表
正直、今のままではMGCで上位2名に入り代表内定を決めるのは難しいだろう。
しかし、本来の状態に戻せれば十分チャンスはある。
現状では鈴木亜由子選手(日本郵政G)が抜けていると言われている。
確かに鈴木選手はトラックや駅伝での実績もあり、今年の【丸亀ハーフマラソン】では日本歴代3位の1時間7分55秒の好タイムを記録したスピードランナーだ。しかし、フルマラソンの経験は少なく絶対的な存在とまでは言い切れない。伸び盛りの選手がいる訳でもなく混戦が予想されるので出場する全選手にチャンスはあるはずだ。
9月15日に開催されるMGCは当日はかなりの高温が予想される。
それに加え、東京オリンピックの代表選考レースなので記録より勝負という考えで臨む選手が殆どだろう。ハイペースになるとは考えづらい。
如何に終盤まで余力を残し、ペース変化に対応できるかが鍵になる。小原選手は勝ち切れないという特徴を持った選手だが大一番のMGCでは勝ち切る或いは2位以内に絶対入るという強い気持ちを最後まで持ち続けて欲しい。ラスト勝負になると分が悪いのは本人も分かっていると思うので自分で仕掛ける以外に勝機はない。
大阪国際女子マラソンでの失敗を活かし、スパートを一発で決めきる必要がありそうだ。
リオデジャネイロオリンピック出場を懸けた名古屋ウィメンズマラソンでの涙が忘れられないので今度こそ笑顔でゴールしてくれる事を祈っている。
関連記事

