2019年9月15日に開催される。【MGC・マラソングランドチャンピオンシップ】
女子は15名が出場権を獲得したが世界陸上選手権女子マラソンに出場する3選手は出場辞退となり12名で争われる予定だ。
MGCは東京オリンピックのマラソン代表を決める重要な大会である為、非常に注目度が高い。
当サイトではMGC出場選手を1名ずつ紹介している。
第11回目となる今回は野上恵子選手をPICKUP。
野上恵子 プロフィール
名前 | 野上恵子 |
生年月日 | 1985年12月6日 33歳 2019年7月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 兵庫県神戸市西区 |
出身校 | 須磨学園高等学校 |
所属 | 十八銀行 |
身長・体重 | 160cm・46kg |
種目 | 自己ベスト |
3000m | 9.20.38 |
5000m | 15.24.70 |
10000m | 32.07.70 |
ハーフマラソン | 1:09.27 |
フルマラソン | 2:26.33 |
野上恵子選手は小野南中学校入学と同時に陸上競技を始めた。
入りたい部活は特に無かったが全員入部が原則の学校でで仕方なく姉のいた陸上部に入ったというトップアスリートらしからぬエピソードを持っている。
1500mを中心に取り組んでいたようだが、中学時代は目立った成績を残せなかった。
中学卒業後は名門の須磨学園に進学。
高校に入ると力を付け、1年生から【全国高校女子駅伝】のメンバー入りを果たす。将来を嘱望されるも怪我に泣き、1年から3年までの3年間、全て補欠に留まり一度も都大路を走る事はなかった。
怪我が続き悔しかったのだろう、泣きながら自宅に帰って来ることあったようだ。
サニックス→十八銀行
高校卒業後は2004年にサニックスに入社。
しかし、サニックス陸上部が廃部となり長崎県の十八銀行に移籍する。
実業団に入ってからも故障に泣かされ苦しい日々を過ごすが、それでも前を向いて努力した。
そんな、野上選手に転機が…
実業団入りして10年以上経過した2015年【名古屋ウィメンズマラソン】で初マラソンに挑戦する事を決めた。この時、野上選手は29歳。
ここまで目立った活躍はできなかった野上選手は進退をかけてこのレースに臨んだ。
前半は速いペースに付いて行き、後半は先頭集団から離されるも最後まで粘りの走りを見せ、2時間28分19秒の6位でフィニッシュした。
初マラソンとしては上々のタイムで、ある程度の手ごたえを感じたのだろう、現役続行を決意。自身の事だけではなくお世話になっている十八銀行の為に駅伝で恩返ししたいという気持ちもあったようだ。
その後、【ゴールドコーストマラソン】に出場し2時間29分34秒で2位になっている。
MGC出場権獲得
2017年の【北海道マラソン】。
MGC出場権獲得を目指し出場した。
先頭集団でレースを進めた野上選手は27km過ぎに積極的に仕掛ける。25km~30kmを前の5kmより40秒速く走り後続を一気に突き離し独走態勢へ。
しかし、33km地点で優勝した前田穂南選手に抜かれ以降は大きくペースを落とし2時間30分11秒で2位となりMGC出場権の獲得とはならなかった。
2018年3月、MGC出場権獲得を目指し初マラソンと同じ舞台である【名古屋ウィメンズマラソン】に国内招待選手として出場した。
野上選手は冷静にレースを進めた。トップグループのハイペースには付ていかず自分のペースをシッカリと保ち、後半も大きくタイムを落とす事なく2時間26分33秒の日本人3位でフィニッシュしMGC出場権を獲得した。レース後はこの結果に満足している様子はなく「後半をもっとシッカリ上げれるようにしないといけない」と課題を口にしていた。
アジア大会女子マラソン銀メダル
名古屋ウィメンズマラソンを終え数日後、野上選手は【ジャカルタ・アジア競技大会】女子マラソン日本代表に選出された。
MGC本番に向け、別のアプローチで臨みたいという理由から回避する選手も多くいたようだが、野上選手は出場の意思表明をしてくれたとのこと。
レースは真夏のレースという事でかなりのスローペースで進んだ。10km通過が37分31秒。
中間点通過が1時間20分46秒で集団は10人。
25km地点でレースが動く。2時間22分台の自己ベスト記録を持つ、ローズ・チェリモ選手(バーレーン)が仕掛け独走状態に。
2位集団は野上選手を含め、30km地点で3人、40km地点で2人なった。
ほぼ、メダルを手中にした残り2.195kmで野上選手は更にペースを上げ、3位の選手を突き放し2位でフィニッシュ。
スローな展開ではあったが、これまでのマラソンで課題となっていた後半で一気にペースを上げ銀メダルを獲得したのは大きな収穫だったように思う。
レース後は「メダルが獲れてホッとしている。メダルを絶対に獲ると思い、諦めないで走った。」と語っていた。
怪我を乗り越え29歳で初マラソン、32歳でアジア大会銀メダル獲得。遅咲きだが一歩一歩成長し、落ち着きを感じさせるのが野上選手の魅力だと思う。
また、アジア大会の前年に5000mと10000mで自己記録を更新しスピードも着実に強化されている。
MGCでの勝算は?
7月3日、日本陸連はMGCの上位5人の選手に国際陸連から参加資格が与えられること決まったと発表。即ち五輪参加標準記録を突破するのと同等とみなされMGCまでのタイムに関係なく上位2名が代表に内定するという分かり易い形式になった。
9月に行われるMGCは混戦模様。
上記の通り上位2名は【東京オリンピック】女子マラソン日本代表に内定する。
MGCに向けスピード強化に努めてる野上選手は今年5月の【仙台ハーフマラソン】でMGC出場権を持つ小原怜選手(天満屋)を抑え、1時間9分27秒の自己新記録で優勝し状態の良さをアピールした。
スピード強化が着実に実を結んでいるのは間違いなさそうだ。
それでも、2時間20分前半のレースより、2時間25分前後のレースで良さを発揮しそうなのが野上選手。
MGC本番は暑い時期に行われ、オリンピックの出場権が懸かっているので、それほど速いペースにはならないのではないかと予想している。気温にもよるが2時間25分前後の勝負になるのではなかろうか?
夏のマラソンを何度も経験している野上選手にとっては願ってもない条件だろう。
ただし、野上選手よりラスト勝負に強い選手が何人もいるのでスローな展開からのスプリント勝負は避けたいところ。
自ら仕掛けるという勇気が必要かもしれない。
注目度という点では上位ではないかもしれないが、何かやってくれそうな予感もするし個人的には頑張ってもらいたい選手のひとりだ。2019年7月時点で33歳だが、マラソンデビューも遅く若い選手に負けないほど伸びしろもあると思っている。
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