NIKEズームXヴェイパーフライネクスト%禁止報道について

陸上

 

今回はNIKEのランニングシューズ【ヴェイパーフライネクスト%】が新規則で禁止になる可能性が高いという報道があったので、その件について個人的な意見を書いていこうと思う。

お付き合い頂ければ幸いだ。

 

NIKEヴェイパーフライネクスト%

 

まずはNIKEヴェイパーフライネクストがどのようなランニングシューズなのか簡単に説明していきたい。

ランニングシューズといえば薄底で軽さを重視したものが今まで一般的であったが、NIKE社はその固定観念を覆す厚底シューズを開発した。

その厚底シューズも年々、改良を加えられ現在はつま先部分が上に反るようにカッティングされ自然と前傾姿勢で走れるような構造となっており、ソール部分にはカーボンファイバー製のプレートが埋め込まれており高い反発性を得る事が可能となっている。更に踵への負担が軽減されレース後半でも足に疲れを感じにくいというのも大きいようだ。

 

 

普段、あまり陸上に興味の無い方でもピンクの靴を履いた選手が多いという認識はあるのではないだろうか?

 

では、何故このヴェイパーフライネクスト%を履く選手が多いのだろうか?

それは単純に好記録で走れる可能性が高いからだ。

誤解を招くといけないので言っておくが、ヴェイパーフライネクスト%を履けば遅いランナーがいきなりトップクラスの選手になる訳ではない。日々、努力を続け才能ある選手達が履く事により国内トップクラス或いは世界トップクラスのタイムを叩き出す可能性が上がるシューズだと思ってもらいたい。

しかし、近年は日本国内でランニングブームが過熱しアマチュアのランナーでもヴェイパーフライネクストを履く事で一気にタイムを短縮できたという話を聞く事も多い。つまり、自身の能力プラスαの力を発揮できるシューズなのだろう。

以前のモデルは履きこなせないランナーも多かったが現在のモデルはより多くのランナーが履きこなせるという話をよく耳にする。

ただ、一部、トップクラスの選手でも合わないという事もあるらしい。

 

箱根駅伝で好記録続出

 

日本人であれば一度くらい【箱根駅伝】を見た事があると思うが、今年の箱根駅伝ではヴェイパーフライネクスト%の威力をまざまざと見せつけられた。

全10区間中7区間で区間新記録が樹立され、その内6区間でヴェイパーフライネクスト%を履いた選手が区間新記録を打ち立てた。

今年の箱根駅伝は気象条件も素晴らしくシューズだけの影響ではないと思うが、ヴェイパーフライネクスト%の力が大きかった事は疑いようのない事実だ。

例えば2区を走った東洋大学の相澤晃選手

彼は学生No,1ランナーであり普通のランニングシューズを履いて走っても日本人最高タイムを記録する可能性は十分にあった。

2区の日本人最高タイムは2019年、塩尻和也選手(富士通)がマークした1時間6分45秒だが相澤選手は1時間5分57秒という、とてつもない区間新記録を樹立。

例年であれば1時間7分台で走ればスーパーエース級、8分前半でも役割はしっかり果たしたと言えるのが2区。しかし、今年は1時間8分30秒以内で走ったのが16名。シューズの影響が大きかったと言わざる得ない。

箱根駅伝を走った選手のヴェイパーフライネクスト%着用率は約85%とも言われている。

 

そして、総合優勝を果たした青山学院大学。

青山学院大学は昨年11月の【全日本大学駅伝】(2位)まで吉田圭太選手以外、殆どの選手がadidas社のシューズを履いていたと記憶している。

つまり、他大学に比べハンデを背負った状態で走っていた。

それにも関わらず大学トップクラスの力を見せていたのだから地力があるという事が分かる。

その青山学院大学は全日本大学駅伝の翌週の世田谷ハーフマラソンではヴェイパーフライネクスト%を履き多くの選手が好タイムを叩き出した。

箱根駅伝では東海大学が大本命とされていたが、この結果を見た私は特殊区間さえハマれば青山学院大学の圧勝の可能性もあると感じた。

元々、強い選手達が多い青山学院大学が他大学と同じ条件で走れるようになったのだから当然と言えば当然の結果だったのかもしれない。

 

ヴェイパーフライネクスト%禁止報道の反応

 

マラソン日本記録保持者の大迫傑選手はこのようなツイートした。

 

これが強い選手の本音だろう。

どんなシューズであろうと決められた条件で最善を尽くし結果を出す自信があるように感じられる。

だからこそ、早く規制をするのかどうかハッキリと決めてもらい競技に集中させてあげたい。

禁止となれば今までヴェイパーフライネクスト%を履いていた選手は新しいシューズに慣れなければいけないのだから。

 

これは私の勝手な想像だがNIKE社と契約していない実業団チームなどは禁止となるのは大歓迎なのではないだろうか?

ヴェイパーフライネクスト%を今まで通り履いてOKなままであれば、NIKE社と契約していないチームはかなりのハンデを背負う事になる。履かなければ勝てないとなると今まで契約してもらっているシューズメーカーとの関係を切るという形になるかもしれない。

男子は大学、実業団ともにヴェイパーフライネクスト%を履いている選手の割合が多いが、女子はそれほどでもない。

昨年11月に行われた【クイーンズ駅伝】では優勝した日本郵政グループの選手はヴェイパーフライネクスト%を履いていたが、その他の上位チームは他社のシューズを履いていた。

男子選手に比べ女子選手には効果が薄いなどの声も聞かれるが個人的にはそんな事はないと思う。積水化学の佐藤早也伽選手はヴェイパーフライネクスト%の推進力を上手く利用した走りをしていると感じるし、この他にも能力が高くストライドの大きい選手もいるので、そんな選手には非常に合いそうだ。

 

少し話が逸れたような気もするがヴェイパーフライネクスト%が禁止になるかもしれないという報道に反応したのは選手だけでなく投資家もだった。

NIKE社の競合相手であるアシックス社の株が一時、7.9%高の1792円まで上がったようだ。

規制がこのままなければNIKE社の独壇場だと感じていただろうが規制の可能性が高いと知り、このような値動きをしたのだろう。

 

ヴェイパーフライネクスト%は規制されて欲しい

 

個人的な意見で申し訳ないがヴェイパーフライネクスト%は規制されて欲しいと思っている。

NIKE社からすれば企業努力で開発したシューズを好記録が続出するからという理由で規制の対象となれば黙っていられないだろう。

厚底やソールのカッティング、軽量化など素晴らしい技術が詰め込まれているが、やはりカーボンファイバーのプレートはシューズの一部とは言えないように思う。

現に一部の大学や実業団チームでは練習では基本、ヴェイパーフライネクスト%を履かせないという方針を出しているチームがある。

それは何故か?

シューズに頼る走りに慣れてしまい練習で養うべき脚作りの基本が疎かになるからだという理由らしい。

つまり、ヴェイパーフライネクスト%を履くと推進力なのか何なのかは定かではないが補助される感覚があるのだろう。

私はアスリートが使用する道具は基本的に選手の能力を100%に近い状態で発揮できるものを目指すべきだと思っている。

道具によって100%以上の力が発揮できるものは違うような気がする。

今年の箱根駅伝でヴェイパーフライネクスト%を履いて次々と区間新記録を樹立する選手を見て、以前の区間記録保持者に対し同情するような感情が芽生えたのは私だけではないはずだ。

記録の価値が下がるような気がするのと同時に新記録や好記録が出てもシラケてしまっている自分がいる。

個人としては規制されて欲しい気持ちが強いが、選手達の事を考えると、とにかく早くハッキリさせてあげて欲しい。

どんなシューズを履こうとも選手達は精一杯、努力しているのだから。

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