なでしこJAPANが4発でカナダに快勝!!東京五輪へ向けての課題と収穫

サッカー

 

2019年10月6日、静岡県IAIスタジアム日本平で行われた女子サッカーの国際親善試合【なでしこJAPAN⑩】×【カナダ代表➆】(国名の後の数字はFIFAランク)は岩渕真奈選手の先制ゴールなど計4発のゴールラッシュでカナダ代表に快勝した。

 

なでしこJAPANスタメン

 

 

*今回の国際親善試合の代表に選出された選手の詳細はこちらをご覧ください。

 

なでしこJAPANの基本システムでもある4-4-2のフォーメーションを組んだ。

先発メンバーも今年の【フランスW杯】の時から殆ど変更は無し。

しかし、そんな中でも注目されたのが怪我で代表を辞退した鮫島彩選手(INAC神戸)が務める左サイドバックに入った宮川麻都選手(日テレ)がどれくらいやれるのかという部分。

鮫島選手は代表歴も長くスピード面では代表でも群を抜いており、後継者になれるような選手は試合開始前の時点は見つかっていなかったからだ。

 

戦評

 

なでしこJAPANは試合開始直後からディフェンスラインが高いポジションをキープし自分達のペースでゴールを回していた。すると6分、右サイドで中島依美選手がボールを持つと菅澤優衣香選手とワンツーを完成。ガラ空きになった右サイドでボールを受けた中島選手はゴール前にグラウンダーのアーリークロスを入れ、走り込んできた岩渕真奈選手がダイレクでトシュートを流し込み先制点を挙げた。

非常に素晴らしい流れで完全に相手を崩しての得点だった。

その後も日本ペースで試合は進むが菅澤選手の高い位置での守備が緩い部分があり、なかなか連動してボールを奪う形が作れなかった。W杯では積極的な守備で貢献していた菅澤選手だっただけに少々、不満の残る動きだったように思う。

カナダ代表はFIFAランク7位で日本より格上の相手だが、スピードもさほどではなく前線から厳しいプレスをかけてくる訳でもなかったので、もう少し良い形を多く作れたのではないだろうか?

結局、前半は1-0で終了。気掛かりなのはW杯期間中の大きく成長し、なでしこJAPANの中心として活躍が期待される三浦成美選手が負傷交代。大きな怪我で無い事を祈りたい。

ハーフタイムでのメンバー交代は無し。(負傷した三浦選手の代わりの前半途中から籾木結花選手が入っている)

 

後半も前半同様、連動してボールを奪うという形にならず、ハッキリと自分たちのペースだと言える展開にならないもどかしい時間帯が続いた。幸い、カナダの攻撃にそれほど恐さを感じないので見ていて焦りもなかったが、どこかで流れを変える必要があると感じた。

後半17分、ここまで攻撃、守備ともにイマイチな内容だった菅澤選手に代え19歳の遠藤純選手を投入。

遠藤選手は左サイドに入り、フォワードは岩渕選手、1.5列目に長谷川唯選手というフォーメーションに変更。

この交代をキッカケに完全に日本のペースとなった。

遠藤選手は交代直後から積極的な仕掛けと前線からの激しい守備を披露。

すると後半20分、左サイドで仕掛けた遠藤選手から宮川選手へ、宮川選手が中央の長谷川選手へ長めのパスを通し、ペナルティーエリアの外にいた岩渕選手とのワンツーからダイレクトでシュートを放つ。このシュートはキーパーにはじかれるが右サイドで詰めていた籾木選手がこぼれ球を右足でニアサイドに豪快に蹴りこみ2点目。

非常に速く、厚みのある攻撃で近年のなでしこJAPANの中で最も素晴らしいゴールだと個人的には感じた。

途中交代で流れを引き寄せた遠藤選手の働きは称賛されるものだと思う。そして、籾木選手も途中出場でいつも高いパフォーマンスを発揮してくれている。そろそろ、スタメンに定着しても良いのでは?

その後は完全に日本の流れとなり後半27分には左サイドから相手ゴール前に籾木選手がロングフィード。そのボールを相手ディフェンダーの裏で受けた岩渕選手がゴール前にフリーで走り込んできた長谷川選手に渡し、そのまま流し込んで3点目。

岩渕選手が打っても全く問題ない場面だったがより確立の高いパスを選択した判断は素晴らしかった。余裕があってこそのプレーだったと思う。

後半30分以降はW杯で代表メンバーから漏れ悔しい思いをした田中美南選手や初召集の高橋はな選手、更には小林里歌子選手を投入。

アディショナルタイムにハーフェーライン付近から杉田妃和選手が右サイドの田中選手にスルーパスを供給。田中選手がそのままゴールライン際まで持ち込み角度の無い所から強引にシュート。キーパーがはじいたボールを小林選手が押し込み4点目を奪った。

 

4得点した事に注目が集まるがディフェンス面の意識が高くなった事が勝利の要因であろう。

前半こそ連動した守備ではなかったが遠藤選手が入ってからはチームとして連動して相手のボールを奪ったり攻撃を遅らせる事ができた。

複数で相手を追い込みボールを奪い切るなど成長した姿が見られたように思う。

決定力不足と言われてきたが当ブログでは再三、指摘している通りなでしこJAPANの課題は守備。

守備がきちんと機能していれば自ずと自分たちのペースで試合を運べ攻撃する機会が増える。

今日の試合は正に理想的だった。

しかし、【東京オリンピック】で金メダルを獲得したいのであればまだまだ満足できる内容ではない。

自陣ゴール前の浮いたルーズボールに対してヘディングに行かず、足で対処しようとしてピンチを招いた場面もあったし、トラップミスからピンチを迎えるなど反省すべき点は多々ある。

攻撃面でもゴール前で完全にフリーなのに相手ディフェンダーに追いつかれシュートを枠に飛ばせない場面もあった。その結果、相手ゴールキーパーと接触し負傷交代した長谷川選手だがもっと早いタイミングでシュート打つのかディフェンダーを交わして打つのか冷静かつ速い判断を求めたい。怪我は大きいもので無い事を祈っている。

 

収穫は宮川選手だ。ここまでの代表でのプレーを見る限り正直、鮫島選手の代わりが務まるのか半信半疑だったが、この日は非常に落ち着いたプレーを見せていた。今後、代表でプレーする機会が増えれば更に成長するだろう。

しかし、今回はのカナダはサイドの選手がヨーロッパの強豪国やアメリカの選手ほどスピードはなく、スピードに対応できるかはまだ未知数。今後の試合で見極められるだろう。

W杯ではチームとして意思疎通ができていないように見受けられ、力を100%発揮できたとは思っていない。少なくとも今日の試合のように多くの選手が考えを共有できていれば、もっと上に進めていただろう。しかし、それが出来なかったというのも実力のうち。

東京オリンピックへのリスタートの試合となったが、まずは有意義な試合になったのではないだろうか?これからの成長に期待できる試合だったと思う。

東京オリンピックまであまり時間は残されていない。ある程度、メンバーを固定し全ての試合に勝ち切る気持ちで監督も選手も試合に臨んでくれる事を期待している。

 

次の試合は約1か月後の11月10日に福岡県で行われる【MS&ADカップ2019】

対戦相手は南アフリカ。FIFAランクは49位でかなり格下ではあるが、どんな相手であろうとやるべき事は変わらない。今日のような素晴らしいサッカーが見れる事を期待している。

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