今回PICKUPするのは陸上女子短距離の御家瀬緑選手。
陸上女子100mで高校歴代2位のタイムを叩きだし、スーパー女子高生と呼ばれているのをご存知の方も多いだろう。
低迷する国内女子短距離の救世主として期待される御家瀬選手の経歴を中心に紹介していくので、お付き合い頂きたい。
御家瀬緑 プロフィール
名前 | 御家瀬緑(みかせみどり) |
生年月日 | 2001年6月2日 18歳 2019年6月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 北海道札幌市 |
出身校 | 札幌市立太平中学→北海道恵庭北高等学校在学中 |
所属 | 北海道ハイテクACジュニアチーム |
身長・体重 | 161cm・不明 |
御家瀬選手は小学校低学年から陸上を始め、小学6年の時に【北海道ハイテクAC】ジュニアチームに入った。
進学した太平中学校には陸上部がなく北海道ハイテクACジュニアチームでの練習がメインだったとのこと。
中学時代は週末のみの活動で、周りの選手が活躍しても焦らず、無理な筋力トレーニングを避け身体の成長を待っていたそうだ。
そのような経緯もあり中学時代は3年生の時に【第43回全日本中学校陸上競技選手権大会】女子走り幅跳びで4位に入賞した以外は目立った成績は残せなかった。
2017年、中学卒業後は北海道恵庭北高等学校に進学。
高校入学時の100mのベストタイムは12秒18だったが、メキメキと力を付け同年10月の【愛媛国体】では少年女子B100mの準決勝で11秒66という好記録を叩きだし、決勝では向かい風の中11秒83で優勝。自己新記録を大幅に更新した。
二刀流でもある御家瀬選手は少年女子B走り幅跳びにも出場し6m00の記録で優勝し二冠に輝いた。
急成長した御家瀬選手は翌年、2018年の【北海道高校陸上競技選手権大会】100mに出場し11秒63の自己新記録をマーク。
記録的にもシニアの選手と勝負になると判断したのだろう、同年6月の【日本陸上選手権】女子100mにエントリー。
本番の日本陸上選手権では予選3組目を走り11秒73のタイムで福島千里選手に次ぐ2位でフィニッシュし決勝進出を決めた。
決勝では11秒74で4位だったがシニアの選手と互角に勝負出来る事を世間に知らしめた。更には2018年【アジア競技大会】の女子短距離リレーチームのメンバーとして高校生で唯一の日本代表入りを果たした。
スケールアップ
高校1年生の時に急成長した御家瀬選手だが前述した通り、身体がある程度できるまで筋力トレーニングを我慢したのが良かったのだろう。現在はスクワットや懸垂、ベンチプレスや体幹など地道な筋力トレーニングをこなし身体が一回り大きくなり更にスケールアップ。
今季初戦は4月に行われた【織田記念】そこで御家瀬選手はとてつもない走りを披露する。
女子グランプリ予選1組目に登場した御家瀬選手は市川華菜選手を抑え11秒78のタイムで堂々、決勝進出を決めた。
決勝では11秒54の高校歴代2位のタイムで日本人1位。ちなみに3位が高校歴代1位の記録を持ち、復調気配を見せる土井杏南選手だった。土井選手も高校時代は天才と騒がれ御家瀬選手以上に注目された選手。今後の二人の対決も非常に楽しみだ。
レース後のインタビューでは「アジア大会で悔しい思いをし、自分に足りないところが分かったと」語っていた。
今シーズンは土井杏南選手の持つ高校新記録の更新を目標に掲げ日々、努力している。
織田記念の翌月には【北海道高校陸上選手権札幌支部予選】に出場し向かい風0.2mのコンディションの中11秒57をマーク。
勢いだけではなく地力の高さを感じさせた。
走りの特徴
御家瀬選手は後半の伸びが特徴的。スピードに乗るとグングン伸びる。以前はスタートを低い姿勢で踏み出すとコケてしまいそうになるので敢えて高い姿勢でスタートを切ると語っていたが、最近はスタートも悪くない。
正確な事は分からないがストライドも以前より広がっているように感じる。これが速さに繋がっているのではないだろうか?そして地面を捉えた後の蹴りが力強くお尻に踵が当たりそうなくらいまで蹴り上げている。
日本陸上選手権
6月27日~30日に開催される【日本陸上選手権】での走りが非常に楽しみだ。
今季は福島選手を筆頭に実力者達の調子が今一つなだけに混戦が予想される。
御家瀬選手にも優勝のチャンスは十分にあるだろう。
前述の通り、復活の兆しがある土井杏南選手との対戦も楽しみだ。織田記念では土井選手に先着しているが果たして今回は…
この他、同じ高校生の青山華依選手(大阪高)も追い風参考記録ながら11秒55のタイムを叩きだしているので侮れない。
勿論、実力者の福島千里選手や市川華菜選手、昨年の覇者、世古和選手の巻き返しも考えられる。
男子に比べ、注目度も低く世界レベルに届いていないが、御家瀬選手を含め若い選手の活躍で女子短距離界を盛り上げていってもらいたい。
レースは6月27日に予選と準決勝。
予選14:35~ 準決勝19:20~
6月28日に決勝が行われる。
決勝20:15~
準決勝がNHK BS1、決勝がNHK総合で放送されるので是非、ご覧いただきたい。
日本陸上選手権女子100m優勝!!インターハイ連覇!!
2019年6月28日に行われた日本陸上選手権女子100mで御家瀬選手が見事、優勝。
準決勝では2組目を走り土井杏南選手に0.1秒差を付けられ、この組2位での決勝進出となった御家瀬選手。
準決勝後は「本番になると調子を上げられていない。無理矢理、身体を動かすような走り」とコメントし不安を感じさせていた。
しかし、決勝では課題のスタートで2番目のリアクションタイムをマーク。スタートが得意な土井選手とほぼ変わらない絶好のスタート切った。20m付近では先頭に立ち追いすがる土井選手を振り切り、そのまま1位でフィニッシュ。タイムは11秒67。雨の降るコンディションという事を考えればまずまずの記録だろう。
レース後は「自分のレーンだけを見て集中して走れた」とコメント。
今大会の女子100mでは高校生が4人決勝に残り世代交代を感じさせる大会にもなった。
今後は同世代のライバル達と切磋琢磨し更なるレベルアップを図ってもらいたい。
追記
2019年8月5日に行われたインターハイ女子100m決勝で御家瀬選手が連覇を達成した。
石堂陽奈選手(立命館慶祥高)、三浦由奈選手(柴田高)、青山華依選手(大阪高)、影山咲穂選手(市立船橋高)など高校生のトップが集まり注目されたレースは中盤から御家瀬選手と石堂選手が抜け出し最後は御家瀬選手が身体一つ分、抜け出し優勝。
向かい風0.1mの中11秒51という素晴らしいタイムをマーク。
準決勝では大会記録となる11秒50をマークしているので土井杏南選手の持つ11秒43の高校記録更新も現実味を帯びてきた。
高校卒業後の進路は住友電工
継続して中村宏之監督の指導を受ける為、北海道ハイテクACに進むのではないかと個人的には思っていたが住友電工陸上部入りが発表された。
どうやら、今年の日本選手権を制した事でパリ・オリンピック出場を大きく意識するようになり、よりレベルの高い実業団で陸上を続ける事を決めたようだ。
また、北海道ハイテクACの監督であった中村宏之氏は勇退し、後任の監督には北風沙織選手兼コーチが就任するとのこと。
中村氏は今後も北海道ハイテクACと恵庭北高校のコーチとして指導を続ける。
御家瀬選手が進む住友電工陸上部は小池祐貴選手や多田修平選手も所属しており非常にレベルが高い。
高校卒業後も大きく成長する事を願っている。
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