2019年9月15日に開催される。【MGC・マラソングランドチャンピオンシップ】
女子は15名が出場権を獲得したが世界陸上選手権女子マラソンに出場する3選手は出場辞退となり12名で争われる予定だ。
MGCは東京オリンピックのマラソン代表を決める重要な大会である為、非常に注目度が高い。
当サイトではMGC出場選手を1名ずつ紹介している。
第4回目となる今回は前田彩里選手をPICKUP。
前田彩里 プロフィール
名前 | 前田彩里(まえださいり) |
生年月日 | 1991年11月7日 27歳 2019年7月現在 |
血液型 | O型 |
出身地 | 熊本県 |
出身校 | 佛教大学 |
所属 | ダイハツ |
身長・体重 | 160cm・45kg |
@chairi_1107 |
種目 | 自己ベスト |
1500m | 4分24秒39 |
3000m | 9分15秒58 |
5000m | 15分32秒22 |
10000m | 32分03秒43 |
ハーフマラソン | 1:10.24 |
フルマラソン | 2:22.48 |
前田彩里選手は陸上一家に生まれた。父は本田技研で現役選手として走りその後、監督を務めた。
母も熊本CACに所属する陸上選手だった。姉も佛教大学陸上部再建の為に招かれ同大学のコーチ経験がある。
そんな環境で育った前田選手が陸上を始めたのは中学生の時。意外にも小学生の頃はバスケットボールをやっていたそうだ。
中学卒業後はは熊本信愛女学院高校に進学。
2年の時に【アジアクロスカントリー選手権】の日本代表に選出されジュニア女子6kmで5位。団体では銀メダルを獲得した。
その他は2.3年次に3000mでインターハイに出場するも予選落ちと目立った成績は残せなかった。
しかし、この頃から通常時の心拍数が1分間で32~33回くらいで高校時代の監督も素晴らしいエンジンを持っているなと感じていたそうだ。人間は通常、1分間で60回くらいが普通とされているので、いくら長距離選手とはいえ信じ難い数値だ。シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんの平常時の心拍数が1分間に30~40と言われているので如何に前田選手が優れたエンジンを持っているのかが分かってもらえると思う。
女子マラソン日本学生記録
高校卒業後は佛教大学に進学。最近は勢いに陰りがあるが前田選手が在学中は 【全日本大学女子駅伝 】で優勝1回、準優勝2回と素晴らしい成績を収めている。
トラックより駅伝で強さを発揮した前田選手は大学4年次に学生でありながら【第33回大阪国際女子マラソン】で初マラソンに挑戦することに。
所謂、マラソンの為の練習をする事なく最高でも30kmまでしか走った事のなかった前田選手だが誰もが想像しないようなパフォーマンスを見せる。
本人曰く、30kmまではアップ。30kmからよーいドンという感じでレースに臨み、実際に30km~35kmまでの5kmのラップで参加選手中最速のタイムを叩き出した。
最後まで崩れる事無く走り切り2時間26分46秒の日本学生新記録を打ち立てた。
この結果は大きな反響を呼び、女子マラソン界に新星誕生と騒がれた。また、可愛らしいルックスも相まって大きな注目を集めた。
ちなみにこのレースには市民ランナーの母、敦子さんも出場しており親子合計のタイム5時間30分21秒はギネス記録を更新していた。
ダイハツ・亡き父の言葉
大学卒業後は実業団のダイハツに入社することに。
ダイハツは幾多の世界大会マラソン日本代表を輩出している名門だ。
それまでは何となく続けていたという陸上競技だったが、走る事が仕事になり意識が変わった。
結果を出さなければいけない、やるからにはオリンピック出場を目標にしようと…
実業団に入ったからだけではなく前田選手がオリンピック出場を目標にするのには、もう一つ大きな理由があった。
前田選手の父、節夫さんは2013年に亡くなっているが前田選手に最後に掛けた言葉が「オリンピックに出て欲しい」という言葉だったそうだ。
ダイハツ入社後の前田選手はいきなりマラソン適性の高さを見せつける。
通常、マラソンに向けた練習をする際、40km走を取り入れる事が多いが経験の浅い選手はシッカリと40km走をこなせない。しかし、前田選手の場合はいとも簡単に40km走をクリア。心拍数も含め長い距離を走る事に天性の才能があるのだろう。
着実に力を付けていった前田選手は2014年の【クイーンズ駅伝】でエース区間の3区を任され区間2位ながらも区間新のタイムをマークしチームの総合2位に大きく貢献。その後も2015年の【都道府県対抗女子駅伝】で最長区間の9区を任され区間賞を獲得するなどロードで無類の強さを発揮した。
2度目のマラソン
レベルアップした前田選手は2015年3月の【名古屋ウィメンズマラソン】の出場することに。
レースは序盤から5km、17分を切るハイペースを刻むが前田選手は臆することなく先頭集団でレースを進める。
しかし、15km地点の給水で小原怜選手(天満屋)と接触し転倒。膝からの出血はあったものの以降もペースを落とすことなく走り切り日本人トップの2時間22分48秒(当時、日本歴代8位)でフィニッシュ。
この結果により同年8月の【世界陸上選手権北京大会】の女子マラソン日本代表に選出された。
期待された世界陸上選手権本番だったが後半の海外選手のスパートに対応できず13位という悔しい結果に終わった。
怪我・MGC出場権
世界陸上選手権では思うような結果を残せなかったが、ここまで順調に成長してきた前田選手。
しかし、左もも裏を故障し、2016年の【リオデジャネイロオリンピック】出場を断念。手術することに。その後も怪我の影響でフォームを崩し、足首を疲労骨折するなど怪我に泣かされた。
約2年間、表舞台から姿を消したが2017年9月の海外でのハーフマラソンで復帰。
同年のクイーンズ駅伝では準エース区間の5区を任され区間賞を獲得し復活の兆しを見せた。
しかし、前田選手はマラソンで結果を残してこそ完全復活と言えるだろう。
2015年の世界陸上選手権以降、2年8か月ぶりのマラソンは前田選手が自己ベストタイムを記録した名古屋ウィメンズマラソンだった。
MGCシリーズ第4弾で【東京オリンピック】女子マラソン代表選考会でもあるレースに出場するが後半ズルズルと後退し全く良さを発揮できず2時間30分54秒の自己ワーストタイムでのフィニッシュとなった。
同年8月にもMGCシリーズ第5弾の【北海道マラソン】に出場するも条件を満たせずMGC出場権を獲得できなかったが、2019年3月の名古屋ウィメンズマラソンに出場し日本人4位のとなる2時間25分25秒でフィニッシュ。ようやくMGC出場権を獲得した。
東京オリンピック出場の可能性は?
MGCで1位になれば即代表内定。さらに2位、3位のうちMGC派遣設定記録を突破した最上位者が代表に内定。突破者がいない場合は2位が自動的に代表に内定と明記されている。
派遣標準タイムは2時間21分なので可能性はあるが現実的ではないだろう。
まずはMGCで2位以内に入る事が求められる。その後もチャンスはあるが早く決めておきたいところ。
現状の前田選手の調子であれば厳しいと言わざるを得ないが、完全復活し良い頃の姿に戻れば十分にチャンスがある。
MGC出場権を獲得した今年の名古屋ウィメンズマラソン後のコメントでも「7割のデキ」と言っていたので、まだまだ良くなる余地は残されているはずだ。
ただし、気がかりな点もある。
MGCは9月の暑い時期に行われるが前田選手が暑さに耐性があるのかは分からない。夏の世界陸上選手権では思ったような結果を残せていないので暑さに弱い可能性もある。
速さ、強さ以外の要素も大きく関係してきそうなだけに、そこだけは心配だ。
窪田忍と結婚
ここからは前田選手のプライベートについて少し触れておきたい。
2018年の12月に予てから交際の噂があったトヨタ自動車陸上部の窪田忍選手と結婚していた事が分かった。
報道があったのは12月だが4月に入籍していたようだ。
報道を受け、窪田忍選手がコメントしている。
ご報告。
昨日一部で報道され、ご存知の方も多いかと思いますが、私 窪田忍は、ダイハツ陸上競技部の前田彩里さんと結婚いたしました。
あのような形で報道されてしまったことは本意ではありませんでしたが、これもひとつのタイミングということで改めて報告させていただきます。
夫婦としてはもちろんですが、まずは競技者としてやるべきことを全うし、その上でお互いにとってより良い関係を築いていければと思います。
まだまだ未熟な二人ではありますが、妻共々これからも応援していただければ嬉しく思います。窪田 忍
10000m 16組
窪田 忍(トヨタ自動車)力強く先頭を引く姿を見られた
窪田さん完全復活! pic.twitter.com/o20OYs1N5Y— りか (@Lblo_K) 2017年9月24日
交際期間中にネットの掲示板などで少し騒がれたが、個人的には幸せになっていただければと思う。お互いトップアスリートで一般の方より分かり合える部分も多いだろう。
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