日本時間の6月11日1時頃に試合開始となったアルゼンチン戦。
サッカー女子日本代表(通称なでしこJAPAN)は格下と思われていたアルゼンチン相手に得点を挙げる事ができず痛恨のスコアレスドローという結果に終わり、勝ち点1しか獲得できなかった。
最終戦にFIFAランク3位で今大会の優勝候補に挙げられているイングランド戦を控えているだけに本日、行われるスコットランド戦は決勝トーナメント進出の為、絶対に勝たなければいけない試合となった。
スコットランド戦 予想スタメン
早速、日本代表のスタメンを予想していきたいが非常に難しい。何故ならば怪我人が多く、怪我の状況は部外者には判断できないからだ。
しかし、阪口夢穂選手を筆頭によくもこれだけ多くの怪我人をW杯の代表メンバーに選出したなと思う。
勿論、選出後に怪我をしたなど様々な理由はあると思うが、起用したい選手がことごとく怪我となるとスタメンだけでなく交代枠の使い方にも影響してくるだろう。
初戦のアルゼンチン戦で左足を負傷した長谷川唯選手の起用に関しては高倉監督が「大丈夫だろう」と話していたが別メニュー調整をしていたという報道を見る限り万全ではないと思われる。チームの核となる選手だけに非常に心配だ。
この他、籾木結花選手、小林里歌子選手も怪我を抱えているし、アルゼンチンに途中出場した岩渕真奈選手も故障明けで万全ではない。
予想フォーメーション
システムの変更はなく4-4-2のフォーメーションだと思われるが、2トップの組み合わせが難解だ。
初戦のアルゼンチン戦で精彩を欠いていた横山久美選手をベンチに置き、小林選手か岩渕選手を起用してもらいたい。しかし、両選手とも前述の通り怪我の影響で万全の状態とは言えないので、どうなるかは分からない。
そして個人的に最も気になるのは右サイドハーフの中島依美選手。普段通りの中島選手であれば不動のスタメンだが最終強化試合のスペイン戦と初戦のアルゼンチン戦を見る限りは精彩を欠いている。近距離のパスをまともに通せないほど重症だ。高倉監督の中では信頼感のある選手だと思うのでスタメンを外す事はないと思うがサイドハーフもこなせる岩渕選手や小林選手がこのポジションに入る可能性も捨てきれない。
そして鍵になるのが交代枠の使い方だがスーパーサブ的な存在の籾木選手までもが怪我を抱えているという事で、切り札は遠藤純選手のみとなる。正直、他のベンチメンバーは実力的に劣ると感じるし流れを変えられるタイプだとも思わないので選択肢が少なくなっている。
試合の展望
スコットランドが守りを固めてくると予想するメディアが多いが筆者はそうは思わない。
イングランド戦は1-2で負けたが前半の入りから猛烈なプレスを仕掛けイングランドを慌てさせる場面も多かった。後半は無失点で守り切り1点を返している。
アルゼンチン戦のBSの解説でも違和感を感じたが、FIFAランクが上というだけで相手が格下のチームと思うのは大間違いだ。スコットランドは強い。日本代表より格上のチームだと認識して試合に臨む事が重要になる。難しい欧州予選を突破し直前の強化試合でもブラジルを完封し勝っている事からも今の日本が簡単に勝てる相手ではないのだ。
チームカラーとしてはスピードと技術を併せ持ち特にサイドからの攻撃を得意としている。
体格面で不利な日本代表はハイボールが苦手だと思われがちだが、サイドから低く速いクロスを入れられるのを一番苦手としている。正に日本が一番嫌がる攻撃をしてくるのがスコットランドというチームだ。
日本の両サイドバックが上がった後ろのスペースはしっかりとケアしたいし、サイドバックが攻撃参加した場合はシュートで終わるなどカウンターを喰らわないようにする事も重要になってくる。
MFのキム・リトル選手には特に警戒が必要だ。小柄だがテクニックと決定力を併せ持ちスコットランドの司令塔と言えるだろう。この選手をしっかりと止める事ができればサイドからの攻撃回数を減らす事にも繋がる。ダブルボランチの杉田妃和選手と三浦成美選手には厳しくマークしてもらいたい。
スコットランドのDFに関しては初戦を見る限りスピードがあるので相手のサイドバックに置いていかれる事は少ないが、ペナルティーエリア付近で選手が密集すると脆さを見せていた。
アルゼンチン戦のように単調なパス回しでは崩しにくいのでワンタッチで崩しにかかったり、ドリブルでペナルティーエリアの中に仕掛けていくのも有効的かもしれない。
そして試合の入りは絶対に相手の圧に負けない事。寧ろ自分たちがプレッシャーをかけるくらいの気持ちでいかないとスコットランドのペースになってしまう。
非常に厳しい状況である事は間違いないが、スコットランド戦に勝利できれば一気に決勝トーナメント進出の可能性が高まる。胸を張って、【なでしこJAPAN】だと言えるような試合を見せてもらいたい。
明日からFIFA女子ワールドカップが開催されます❗️
なでしこジャパンの皆さん、応援しています☺️✨✨🐰🐻#DareToCreate #createdwithadidas #daihyo #世界のなでしこ #なでしこジャパン pic.twitter.com/P0yxFLqg8d— Rika Kihira 紀平梨花 (@rika_kihira) 2019年6月10日
戦評はまた試合後にこの記事に追記する予定だ。皆で女子サッカー日本代表を応援しよう!!
ちなみにキックオフは日本時間の22時頃。
日本代表スタメン
ポジション | 背番号 | 選手名 | OUT | IN |
GK | 18 | 山下杏也加 | ||
DF | 3 | 鮫島彩 | ||
DF | 4 | 熊谷紗希 | ||
DF | 5 | 市瀬菜々 | ||
DF | 22 | 清水梨紗 | ||
MF | 6 | 杉田妃和 | ||
MF | 7 | 中島依美 | ||
MF | 17 | 三浦成美 | ||
FW | 8 | 岩渕真奈 | 後半36分 | 後半36分 長谷川 |
FW | 9 | 菅澤優衣香 | ||
FW | 19 | 遠藤純 | 後半21分 | 後半21分 小林 |
スタメンはアルゼンチン戦から3人を変更。予想スタメンとはかなり違った感じとなった。
チームの軸でもある長谷川選手はやはり痛めた左足がおもわしくないのだろう。スタメン起用の可能性もあった小林選手もまだ万全ではないようだ。
最年少の遠藤選手のスタメン起用は非常に楽しみである。若い選手だが非常に冷静でテクニックを兼ね備えているので大暴れを期待したい。
前半の戦評
今日の日本は試合の入り方が非常に良かった。勝利という結果は試合の入りが良かった事が全てだと思う。
近年の国際試合では力が互角かそれ以上のチームと対戦すると試合開始直後の相手のプレッシャーに押されてしまい流れを掴む事なく負けるパターンが多かったからだ。
2トップを組んだ菅澤選手と岩渕選手は試合開始のホイッスル直後から積極的に相手DFにプレッシャーをかけくれたので後ろの選手も連動して守備ができたのだと思う。
この日本のプレッシャーに押されるかのようにスコットランドはイングランド戦のようなアグレッシブなサッカーが出来ないでいた。
日本は前半から両サイドバックが高いポジションでプレーし中央の選手と良い連携で攻撃ができた。アルゼンチン戦ではあまり見られなかったワンタッチプレーも多く相手DFも対応に苦しんでいたように思う。この他、バックラインで短いパスを回すだけでなく長めのパスを使っていたのが大きなスペースを作る事ができた要因だろう。
良い流れの日本は前半23分に左サイドのスローインから遠藤選手が相手DFの股を抜くパスを岩渕選手に通し岩渕選手はペナルティーエリア外から右足を一閃。ゴール中央のキーパーの手の届かない高さに素晴らしいミドルシュートを決めた。
初戦がスコアレスドローだった事もあり先制点を取れたというのは非常に大きかったように思う。
勢いに乗った日本は前半37分、右サイド清水選手のアーリークロスに合わせようとした菅澤選手が相手DFに倒されPKを獲得。これを菅澤選手が冷静にゴール右隅に蹴り込み2点目。
その後は遠藤選手がゴールライン際から折り返し杉田選手がダイレクトでシュートを放つがポストに阻まれるなどして追加点は奪えず前半戦は終了。
非常に厚みのある攻撃と落ちついたディフェンスで前半は満点に近いデキだったと思う。
後半の戦評
後半は前半とメンバー交代無しでスタート。
前半の流れのまま良いリズムで試合を進めるがなかなか追加点を決める事ができない。
スコットランドも前半よりはアグレッシブになりスピードを活かしたカウンターを仕掛ける場面もあった。
後半21分、日本は最初の交代カードを切る。ここまで素晴らしい動きを見せていた遠藤選手に代え、小林選手を投入。小林選手がFWの位置に入り、岩渕選手を左サイドハーフに。
遠藤選手を交代させるのは誰もが勿体ないと思っただろうが所属チームの【日テレ・ベレーザ】でも途中出場が多く、代表でも90分間のフル出場を果たした事がないので高倉監督はスタミナ面の心配をして交代させたのだと思う。
しかし、この交代から徐々にスコットランドに流れがいってしまう。
前半から守備に攻撃にと動き回っていた岩渕選手が疲弊し左サイドを破られるように。それでも三浦選手が献身的にカバーし決定的な場面を相手に作らせなかった。
その後は後半36分に疲れの見える岩渕選手に代え、左足を痛めている長谷川選手を投入するが流れは変わらずスコットランドの猛攻を受け我慢の時間帯へ。CKを立て続けに与えるが全員で身体を張って防いでいた。このまま2-0で逃げ切れるかなと思った後半43分、ここまでセンターバックとして奮闘していた市瀬選手が自陣でパスミスをし、ラナ・クレランド選手にボールを渡してしまう。ボールを受けたラナ・クレランド選手に豪快なミドルシュート決められ1点差になってしまう。
だが1点差に迫られても慌てなかった。ボールをキープしたりスペースでパスを回すなどきちんと時間を使い、このまま2-1で逃げ切り大きな勝ち点3を獲得した。
試合後の選手は喜びとともに安堵の表情を見せていたのが印象的だった。
今日の試合は全体的に良かったと思う。特に激しく相手にプレッシャーをかけ戦う姿勢を見せてくれたのが嬉しかった。
皆、それぞれ良かったが前線で試合終了まで身体を張ってくれた菅澤選手、日本にとって危険な場面に必ずとい言っていいほど顔を出してくれた三浦選手の頑張りは本当に素晴らしかった思う。
最終強化試合のスペイン戦で酷評した市瀬選手は不用意なパスから相手にゴールを許したが、その他は非常に良かった。ボランチよりセンターバックのほうが現状は良さそうに思う。
この他、怪我明けの小林選手が元気に動いていた事は今後の戦いに繋がる。
長谷川選手は劣勢の展開で投入されたので調子がどうこうというのは判断できなかたが足の状態が万全になる事を祈りたい。
スタメン起用された岩渕選手と遠藤選手が期待通りの活躍をしてくれたので、今後の起用のバリエーションが増えたと言えるだろう。怪我人が多いだけに非常に大きなプラス要素だ。
しかし、19歳になったばかりの遠藤選手の落ち着きにはいつも驚かされる。本人は緊張していたと語っていたが、そんな風には見えなかった。大会期間中にも大きく伸びていきそうな予感がある。
イングランド戦に向けて
スコットランドに勝利し勝ち点4となった日本は決勝トーナメント進出に大きく近づいた。
次のイングランド戦に勝利すれば1位通過が見えてくる。
各組2位までは自動的に決勝トーナメントに進出でき、3位でも各グループの3位の中で成績上位の4チームが決勝トーナメントに進めるので、今日の試合に勝利した事は非常に大きい。
しかし、高倉監督も選手達も1位通過を目指していると思うのでイングランド戦は激しい試合になるだろう。1位通過できればグループB・E・Fの3位のチームと戦えるので是が非でも勝ちたいところ。
しかし、イングランドはそんなに簡単な相手ではない。今回のW杯フランス大会の優勝候補であり日本はイングランドを苦手としている。優勝した2011年のW杯ドイツ大会でもグループステージで敗れているし、直近の試合では0-3と圧倒的な力の違いを見せつけられている。
スピード、パワー、テクニック全て面でレベルが高く、日本がペースを握れる時間帯は少ないと予想できる。今日の試合の様に試合の入りを大切にして何とかプレッシャーをかけたいところだ。
次戦は日本時間の6月20日に行われる。コンディションを整えつつ連携面や意思統一を更に高めてイングランド戦に臨んでもらいたい。
