今回はW杯フランス大会グループステージ初戦の【日本VSアルゼンチン】をPICKUP。
Dグループに入っている日本はアルゼンチン、スコットランド、イングランドの順に対戦していく。
上位2チームは決勝トーナメント進出が決定。3位でも成績次第で決勝トーナメント進出の可能性がある。
Dグループの最初の試合は【スコットランドVSイングランド】で日本時間の6月10日午前1時頃にキックオフした。
このDグループを1位通過すると予想されているのがFIFAランク3位のイングランド。
試合前の下馬評もイングランドが圧倒的有利というものだった。
結果は2対1でイングランドが勝利したが、筆者はスコットランドの強さに驚かされた。組織的なプレーをしっかりしておりパワーとスピードを兼ね備えている素晴らしいチームだったからだ。
イングランドが優位に試合を進めてはいたがスコットランドも防戦一方という訳ではなく随所に良い攻撃を見せていた。守備面ではGKのリー・アレクサンダー選手が好セーブを連発。
FIFAランクでは日本が圧倒的に上だが格下だと思って試合に臨んだらまず間違いなくやられるだろう。
アルゼンチンもスコットランド同様、FIFAランクでは日本の遥か下だが油断は禁物。
日本はベストメンバーで勝ちにいく必要があるし試合の入り方も大事になる。
現在はまだ試合前の段階でスタメンも発表されていない状況。試合終了後に改めて戦評を書く事にする。
なでしこJAPANスタメン・前半
ポジション | 背番号 | 選手名 | OUT | IN |
GK | 18 | 山下杏也加 | ||
DF | 3 | 鮫島彩 | ||
DF | 4 | 熊谷紗季 | ||
DF | 12 | 南萌華 | ||
DF | 22 | 清水梨紗 | ||
MF | 14 | 長谷川唯 | ||
MF | 6 | 杉田妃和 | ||
MF | 17 | 三浦成美 | ||
MF | 7 | 中島依美 | 後半29分 | 遠藤純 |
FW | 9 | 菅澤優衣香 | 後半45分 | 宝田沙織 |
FW | 20 | 横山久美 | 後半12分 | 岩渕真奈 |
スタメンはほぼ予想通りで4-4-2のシステム。最終強化試合のスペイン戦でかなりパフォーマンスの悪かった市瀬選手が外れた。
試合は開始直後からアルゼンチンが引いて守り、日本がボールポゼッションで上回る展開に。
日本はパス回しで相手を崩そうとするも、単調でアイデアのないパスばかりでなかなか相手ゴール前まで攻め込めない展開が続く。先取点が欲しいものゴールの匂いさえしない。アルゼンチンはカウンターを狙うような素振りも殆ど見せる事がなく怖さはないが自陣でシッカリとしたブロックを形成していた。
最終強化試合のスペイン戦の時にも書いたが日本はバックラインでのパス回しが下手だ。今回は高い位置からプレスをかけてこない相手だったので助かったがスコットランドやイングランドには間違いなく狙われるだろう。
特にセンターバックの熊谷選手と、南選手は両サイドバックがライン際の高い位置でフリーでいるのにパスを出そうとしない。試合中、右サイドバックの清水選手がイライラしている仕草を見せていたが仕方のない事だろう。
バックラインで常に近い選手にしかパスを出さないので相手のMFやDFを剥がせない。熊谷選手も南選手も清水選手がフリーでいる事を確認しているのにも関わらずパスを出さないという事はロングフィードに自信がないのだろう。
横山選手はボールを持つと周りにフリーの選手がいるのにも関わらずドリブルで突っ込み、相手に奪われるというミスを何度も繰り返した。中島選手は最終強化試合のスペイン戦から何かがおかしい。近距離のパスをまともに通せないので身体のどこかを悪くしているのではないかと疑いたくなるほど💦
前半はチャンスらしいチャンスもなく、このままハーフタイムに突入した。
後半
日本はメンバー交代無しで後半のホイッスルを迎える。
前半と特に何も変わらず試合が進んでいくが後半10分に右サイドの清水選手が駆け上がりゴール前にグラウンダーのパスを送る。それを杉田選手がスルーし長谷川選手が左足でシュートを放つも枠の外へ。
この試合で唯一の決定的チャンスをものにできなかった。
後半12分、日本はこの試合初めて交代のカードを切る。横山選手に代えて岩渕選手を投入した。この判断は個人的には正しかったと感じている。横山選手は以前のように日本の絶対的ストライカーという印象もなく、この試合の動きも非常に悪かったからだ。足もとでしかパスを貰おうとせず、出し手の意図を全く感じていなように見えた。
岩渕選手を投入すると少しずつパスが繋がり出した。ワンタッチでパスを回す場面も増え、スペースができるようになったが、なかなか決定機を作れない。ゴール前でのアイデアのなさやポスト役である菅澤選手がきちんとボールをキープできなかったのが原因だろう。
その後は後半29分に中島選手→遠藤選手。後半45分に菅澤選手→宝田選手と交代のカードを切るも結局、スコアレスドローで試合は終了。アルゼンチンは日本と引き分ける事ができると思っていなかったのだろう。試合に勝利したかのような喜びを見せていた。
一方の日本の選手は落胆の色を隠せず終始、暗い表情でピッチを後にした。
試合後のコメント
高倉監督
岩渕真奈
長谷川唯
W杯初戦という事で緊張はあったと思うが最悪の結果に終わった事は言うまでもない。
TVの解説陣は相手に引いて守られやりにくかったのかもしれないと言っていたが、相手に強烈なプレスをかけられると何もできない日本からすれば、やり易い相手だっと思う。
ボールを止める、蹴るという当たり前の技術が欠落している。この引き分けは偶然ではなく必然だ。
何度も書くがバックラインで隣の選手にパスを出しているだけでは絶対に相手を崩せない。サイドチェンジを含め長いパスを織り交ぜていかないとこのような試合が続くだろう。ただ、技術が無いので恐くてできないという気持ちも分かる。つまり、これが今の日本代表の実力なのだ。
試合内容以外にも怪我人を何人もメンバーに入れている事にも疑問を感じる。ベンチメンバーでも起用できる選手が限られているというのは本当に困りものだ。
まだ1試合を終えただけなので数字上は決勝トーナメントに進出するチャンスはあるが、個人的にはグループステージ敗退が濃厚だと感じている。
次戦がスコットランド。最終戦がイングランド。
スコットランドVSイングランド戦を見た方なら分かると思うが、今の日本がこの両チームに勝つ事は相当難しい。ハッキリ言えばレベルが違い過ぎる。
3位に入れば決勝トーナメントの可能性もあるが、このまま勝ち点1であれば敗退は決定的。次に戦うスコットランドは強いが日本は勝つしかない!!可能性は極めて低いが0ではないと思うので是が非でも勝って欲しいところ。
なでしこJAPANとは?
厳しい事を言わせてもらうが現女子サッカー日本代表は【なでしこJAPAN】とは名乗ってはいけないと思う。
筆者は2007年のW杯、2008年の北京オリンピックもリアルタイムで日本の女子サッカーを見てきたが、こんなに魂を感じないチームを見たのは初めてだ。
当時の日本代表も決して強くはなかったが全選手が身体を張って頑張っていたので勝ち負けに関わらず感動できた。北京オリンピックは優勝のかかったソフトボールの決勝とほぼ同時刻に女子サッカーの3位決定戦をしていたが、筆者はソフトボールではなくサッカーを見るほど日本の女子サッカーに心を奪われていた。
今の日本代表は技術も無ければ魂も感じない魅力のないチームになってしまった。
池田さんや澤さんなど女子サッカー不遇の時代を力強く生き抜いて引っ張て来た選手がいないというのも原因なのかもしれない。
2011年になでしこJAPANが優勝できたのは技術だけでなく献身的に皆が動いていたからだ。今の代表はハイボールに対してヘディングをしようとしない選手も多数存在する。岩清水選手などは相手がシュートする場面でも怯まず頭を出していた。
急に技術が上手くなることはないが身体を張る事は考え方次第でできるはず。
次戦のスコットランド戦は魂の籠ったプレーを見せてもらいたい。
今の代表メンバーもきっと、その魂を引き継いでいると信じている。
そうでなければ日本の女子サッカーは完全に終わってしまう。
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