2019年9月15日に開催される。【MGC・マラソングランドチャンピオンシップ】
女子は15名が出場権を獲得したが世界陸上選手権女子マラソンに出場する3選手は出場辞退となり12名で争われる予定だ。
MGCは東京オリンピックのマラソン代表を決める重要な大会である為、非常に注目度が高い。
当サイトではMGC出場選手を1名ずつ紹介している。
第5回目となる今回は一山麻緒選手をPICKUP。
一山麻緒 プロフィール
名前 | 一山麻緒(いちやままお) |
生年月日 | 1997年5月29日 22歳 2020年3月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 鹿児島県出水郡 |
出身校 | 出水中央高等学校 |
所属 | ワコール |
身長・体重 | 158cm・43kg |
種目 | 自己ベスト |
1500m | 4.28.35 |
3000m | 8.53.54 |
5000m | 15.24.17 |
10000m | 31.49.01 |
ハーフマラソン | 1:08.49 |
フルマラソン | 2:20.29 |
一山麻緒選手は小学校の運動会で一番になりたいという理由から陸上を始め、地元の出水中学校から県内有数の陸上強豪校、出水中央高校に進学。
高校時代は県内ではトップクラスの選手の一人ではあったが全国的には無名の選手だった。
鹿児島県内で一山選手と同学年で有名だったのは全国高校総体1500m、3000mを優勝している倉岡奈々選手(デンソー)だったが実業団に入ってからは立場が逆転している。
高校進学後は憧れを抱いていたワコールに入社。特に福士加代子選手の事を尊敬しているようだ。
ワコール入社後はメキメキと力を付け、急成長。
2016年、入社1年目から3000mと5000mで立て続けに自己記録を更新。
そして、同年の【クイーンズ駅伝】ではチームの流れを作る重要区間、1区に抜擢され従来の区間記録を20秒以上更新する21分50秒の区間新記録を樹立し先頭でタスキを繋いだ。
2017年5月の【カージナル招待】10000mに出場し31分49秒01の自己新記録をマーク。
その後はハーフマラソンに挑戦するなど長い距離にも対応していき同年12月の【山陽女子ロードレース大会】ハーフマラソンで1時間9分14秒の好記録で日本人2位となった。このレースには国内トップクラスの選手が何名も参加していたので本人も手応えを掴んだのではないだろうか?
チームメイトの福士加代子選手からも「強い。歯が立たない」言われるほど強くなった一山選手だが入社3年目は苦しむことに…
怪我の影響で不調に陥る
2018年シーズン、一山選手はスタートから躓いた。
1月に膝の故障を発症し約2か月間、苦しんだ。
高校生以来の故障という事で焦りもあったのだろう。
3月の世界ハーフマラソンに出場するも19位。6月の【日本陸上選手権】は5000mが10位、10000mが5位と両種目とも前年を下回る成績となった。
しかし、【プリンセス駅伝】では3区でごぼう抜きを演じ区間賞を獲得。復活を印象付けた。
マラソン挑戦
実業団に入り才能が開花した一山選手。どちらかというとスピードランナーという印象があったが本人は早くからマラソンに挑戦したいという気持ちを持っていたようだ。
先輩の福士選手はトラックで数々のタイトルを獲得しオリンピックや世界陸上選手権を出場を経て入社8年目でようやく初マラソンに挑戦した。
所属チームの永山監督曰く、しっかり食べて、しっかり練習を積めるのでマラソンに向いているとのこと。
初マラソンは2019年3月の【東京マラソン】に決まった。
同大会は女子はMGCシリーズには含まれていない為、一発でMGC出場権を獲得するにはワイルドカードの2時間24分以内を達成しないといけない。
初マラソンの選手にとっては厳しい条件だが、一山選手は2時間21分00秒の初マラソン日本最高記録を目標に掲げレースに臨んだ。
レース当日は気温も低く雨が降りしきる最悪のコンディション。低体温症になる選手も複数いるほど厳しいコンディションだった。
それでも一山選手はスタート直後からハイペースでレースを進め25kmまでは5km16分台のペースを刻んだ。30kmまでは2時間21分台のペースで走っていたが、それ以降はマラソンの厳しさを知ることに。
30km~35kmが17分40秒、35km~40kmが18分20秒と大きくタイムを落とし2時間24分33秒でフィニッシュ。ワイルカードに33秒ほどたりず一発でのMGC出場権獲得とはならなかった。
しかし、厳しいコンディションに苦しむ選手が多い中、初マラソンで日本人1位を獲得できたのは非常に価値のあることだと思う。加えて国際陸連が公認する大会で上位2レースの平均タイムが、2時間28分00秒以内であればMGC出場権を獲得できるという項目があり、2時間24分33秒で走れた事はMGC出場に大きく近づく結果となったように思う。
レース後は【ロンドンマラソン】でMGC出場権を獲得すると宣言。
東京マラソンから2ヵ月も期間がないという事で調整の難しさはあるだろうが2時間31分27秒以内で走ればMGC出場権を獲得できるということで、条件的にはさほど厳しくはないだろう。
レースではチームメイトの安藤友香選手に敗れはしたものの2時間27分27秒で走り切り、危なげなくMGC出場権を獲得。
MGC本番のダークホース的存在
東京オリンピック・マラソン代表選考基準についてはこちらをご覧いただきたい。
7月3日、日本陸連はMGCの上位5人の選手に国際陸連から参加資格が与えられること決まったと発表。即ち五輪参加標準記録を突破するのと同等とみなされMGCまでのタイムに関係なく上位2名が代表に内定するという分かり易い形式になった。
上記したようにMGCで東京マラソン日本代表に内定する為には2位以内に入る必要がある。東京オリンピック本番を考えても、ここで決めておきたいのが参加する全選手の本音だろう。
一山選手がMGCで2位以内に入る可能性はあるのか?個人的には可能性は大いにあると思っている。何故なら飛び抜けて強いという選手もいないので混戦が予想されるからだ。
そんな中でも鈴木亜由子選手や松田瑞生選手が有力視されているが一山選手はダークホースになる可能性を秘めている。
7月7日に行われた【函館ハーフマラソン】で一山選手は自己ベストとなる1時間8分49秒の好記録で圧勝し状態も非常に良さそうだ。同レースには前田穂南選手(天満屋)、安藤友香選手、上原美幸選手(第一生命G)などMGC出場予定選手も数多く出場しており、その中で勝てたのは自信に繋がるだろう。
MGC本番は順位が大切なのでハイペースになる可能性は少ないだろうが、スピードがあるというのは大きな武器である事に違いない。
マラソン経験も2度しかないので伸びしろが大きそうなのも魅力だ。顔ぶれを見るとマラソン経験が少なく、若い選手が多いので一山選手以外にも一気に伸びてくる選手がいるかもしれない。非常に興味深いレースになりそうだ。
全選手に言える事だが、まずは自分の力を100%出せるようにコンディションをシッカリ整えてレース当日を迎えるのが最低条件。一山選手は実業団に入って以降、出場レースが多過ぎるような気がするので怪我などには気を付けてもらいたい。
ルックスも可愛らしいので東京オリンピック女子マラソン代表に内定すれば大きな話題になりそうな選手だ。
東京五輪女子マラソン代表に内定!!
東京五輪女子マラソンの代表最終選考レース【名古屋ウィメンズマラソン2020】に出場した一山麻緒選手はハイペースで進む先頭集団の中段に位置取り冷静な走りをみせた。
いつもであれば先頭や集団の前目に位置取る事が多いが、この日は後半にシッカリ体力を温存するという意識がハッキリ見受けられた。
30km手前で1kmのラップタイムを5秒上げる強烈な仕掛けをみせ、他の選手は付いていけず独走状態に。
そこからも1km、3分15~3分20秒前後のペースを刻み大阪国際女子マラソンで松田瑞生選手が叩き出した2時間21分47秒を上回るペースに。
最後の最後まで弾むような走りが衰える事はなく2時間20分29秒という驚異的な女子マラソン国内最高記録を樹立。
本番での走りが非常に楽しみになる結果を残した。
一山選手と前田穂南選手は五輪本番でも入賞を狙えるような力を持っていると個人的には感じている。
長く低迷していた日本女子マラソン界だが若い選手に実力者や将来が楽しみな選手が多く暗黒時代を抜け出したと言えるだろう。
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