今回PICKUPするのは女子陸上中長距離の廣中璃梨佳選手。
都道府県対抗女子駅伝や全国高校女子駅伝で大活躍しているのでご存知の方も多いだろう。
そんな廣中選手だが今春、高校を卒業し実業団チームに入った。
実業団チームでの取り組みや経歴を含め、詳しく紹介していくので興味があれば、お付き合い頂きたい。
廣中璃梨佳 プロフィール
名前 | 廣中璃梨佳(ひろなかりりか) |
生年月日 | 2000年11月24日 20歳 2021年9月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 長崎県 |
出身校 | 長崎商業高等学校 |
所属 | JP日本郵政グループ |
身長・体重 | 163cm・46kg |
廣中璃梨佳選手が本格的に陸上を始めたのは大村市立桜が原中学校に入学後。
中学3年次には【都道府県対抗女子駅伝】に出場し3区で区間賞を獲得。
それでも廣中選手自身は中学時代は遅かったと語っていた。
【長崎県中学駅伝】で優勝し全国を目指していたが、2位という結果に終わり九州大会出場に留まった。
この時の悔しさを晴らす為、高校でも陸上を続けるを決意したそうだ。
高校は県内の陸上名門校、諫早高校ではなく長崎商業校に進学。
高校進学後も都道府県対抗女子駅伝で3年連続区間賞を獲得(中学3年から4年連続)するなどロードでは無類の強さを発揮した。
特に2018年と2019年は印象的で、2018年は4区を走り高校2年生ながらもロンドン五輪マラソン代表の木崎良子選手の区間記録を大幅に更新する区間記録を樹立。
2019年は1区を走り、こちらも2017年世界陸上選手権5000m代表の鍋島莉奈選手をラストスパートで千切り区間賞を獲得。
高校3年次は県大会を制し、念願の【全国高校女子駅伝】に長崎県代表として出場。
エース区間の1区を走り1km過ぎから積極的な走りで先頭に立つと後続を大きく突き放し区間賞を獲得。新谷仁美選手の持つ区間新記録には及ばなかったものの素晴らしい走りを披露した。
トラックでは5000mで高校1年歴代最高記録となる15分42秒23をマーク。
2018年の【福井国体】陸上少年女子A3000mでは日本人高校生では唯一の9分切りとなる8分57秒78で3位入賞を果たしている。
その他、高校3年次の【クロスカントリー日本選手権】ではジュニアの部で優勝している。
JP日本郵政グループ女子陸上部
高校卒業後の進路が注目された廣中選手だが2014年創部と歴史が浅いが創部3年目に【全日本実業団対抗女子駅伝大会】を制し世界大会出場経験のある選手が多く所属する、【日本郵政グループ女子陸上部】に入る事になった。
プロではなく実業団の選手なので仕事もしている。
東京都内の郵便局の総務部に配属され事務作業を担当。
仕事を終えてから練習が始まり、高校時代よりも体幹を意識したり基礎トレーニングに割く時間は長くなっているようだ。
スピードランナーの廣中選手だがパワー系の走りでラストの切れ味という面では国内トップクラスの選手より現時点では劣っている。
高校時代は気持ちで最後まで走っていたようだが、実業団に入ってからはバネを意識し上半身と下半身を連動させ疲れにくい走りを追求しているという。それがラストの爆発力に繋がると考えているようだ。
このような地道な練習の成果が社会人1年目から表れている。
2019年4月に行われた【織田記念】女子グランプリ5000m決勝では高校時代のベストタイムを10秒更新する15分23秒58で【世界陸上選手権ドーハ大会】5000m代表の木村友香選手に次ぐ2位という成績を収めた。
その翌週に行われた【ゴールデンゲームズinのべおか】女子5000mでは15分26秒82で5位。
トラックでも実業団トップクラスの選手と互角に戦える事を証明してみせた。
しかし、ラストの切れ味では上位の選手と比べると劣る部分がありトラックで勝つとなると、その部分を克服するか誰も付いて来れないくらいのハイペースで押し切る必要がありそうだ。
6月には【日本陸上選手権】女子5000mに出場。
鍋島選手と木村選手の2強の戦いに注目が集まったが、廣中選手も素晴らしいレースをみせてくれた。
常に先頭集団でレースを進め、ラスト1周からの鍋島選手のスパートに少し離されるも必死に食らい付いていた。レースはそこから木村選手がスパートをかけ鍋島選手を抜き去り廣中選手は更に離されるも3位でフィニッシュ。現時点で出来る最高のレースをしたと思う。
高校を卒業して1年目、まだまだ伸びていくだろう。
世界陸上選手権ドーハ大会出場の可能性
廣中選手は2019年9月に開催される世界陸上選手権出場の可能性を残している。
大前提として派遣標準記録の15分22秒を切らなくてはいけないが廣中選手の対象期間内のベストタイムが15分23秒58。9月6日までに突破する必要がある。
そして、例え標準記録を突破したとしても9月7日時点のIAAFワールドランキングにおいて日本人上位の競技者という項目があるので、こちらの条件も満たさないといけない。
この記事を書いている時点では田中希実選手がランキング上位なので今後のレースでポイントを獲得して逆転する必要がある。
少しややこしい選考基準ではあるが、まずは派遣標準を突破しないと何も始まらない。
東京オリンピック・自己ベスト
廣中選手は世界陸上選手権や東京オリンピックに出場できるような強い選手になりたいと語っていた。
先程、世界陸上選手権出場の可能性について書いたが個人的には焦る必要はないと思っている。出場の可能性は十分にあるだろうが女子陸上長距離界では10代で活躍し将来を期待されるも消えていった選手を何人も見ている。
何が原因でそういう事が起こっているのかも分からないし(鉄剤は関係ありそうだが…)廣中選手がそれに当て嵌まるとは思っていないが、焦って故障したりしないよう気を付けてもらいたい。
非常に素晴らしい才能を持った選手だと思うので大きく育ってもらいたいというのが本音だ。
ただ、トレードマークのキャップをかぶり東京オリンピックで走っている姿も見てみたい。
自己ベスト
距離 | タイム |
800m | 2.09.00 |
1500m | 4.16.48 |
3000m | 8.52.80 |
5000m | 14.52.84(日本新記録) |
10000m | 31.00.71 |
2019年12月7日に開催された【日本実業団陸上競技連合女子記録会】5000mの3組目に出場した廣中選手は自己記録更新とともに東京オリンピック女子5000m参加標準記録を突破した。
2週間前のクイーンズ駅伝では1区を走り独走で区間新記録をマーク。MVPを獲得し日本郵政グループの優勝に大きく貢献。
高校卒業後も凄まじい勢いで成長している。東京オリンピック出場に大きく近づいたと言っていいだろう。
東京オリンピックで入賞&日本新記録を更新!!
東京オリンピックに出場した廣中選手は積極的な走りを見せ、5000mでは惜しくも入賞を逃すものの14分52秒84の日本史記録をマーク。
長きに渡り君臨していた福士加代子選手の記録を遂に更新した。
10000mでは自己ベストとなる31分00秒71で見事に8位入賞。
オリンピックという大舞台プラス過酷な暑さの中で好記録を出した事は素直に素晴らしいと感じた。
元々、積極的なレーススタイルでハイペースでラップを刻んでいくタイプ。しかし、ラストの切れ味では国内でも負けてしまう部分もあったが少しずつレベルアップしているように思う。
今後は1500mなどの中距離のレースでスピードを更に鍛え5000mでは14分40秒台、10000mでは日本記録更新を目指してもらいたい。
同年代にレベルの高い選手が揃っているので刺激があるだろし女子の長距離種目は新しい時代に突入したと言っていいだろう。
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