今回は陸上長距離の萩谷楓選手をPICKUP。
この春、高校を卒業し実業団1年目の選手だが成長著しい萩谷選手。
経歴など含め詳しくご紹介していくので、お付き合い頂ければ幸いだ。
萩谷楓 プロフィール
名前 | 萩谷楓(はぎたにかえで) |
生年月日 | 2000年10月10日 20歳 2021年9月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 長野県 |
出身校 | 長野東高等学校 |
所属 | エディオン |
身長・体重 | 不明 |
種目 | 自己ベスト |
800m | 2.09.90 |
1500m | 4.11.34 |
3000m | 8.48.12 |
5000m | 14.59.36 |
女子長距離の名門、長野東高校出身の萩谷楓選手。
高校入学後の2年間は故障に悩まされ思うような結果を残せなかった。
3年になると怪我も癒え順調に練習を積めるように。
高校3年次に出場した【高校総体】女子1500mでは日本人2位。同年、9月の日体大記録会では3000mを9.07.45で走るなど高校トップクラスのスピードを持っていた。ちなみに9.07.45は世代3位のタイムで1位はデンソーに入社した小笠原朱里選手、2位は日本郵政Gに入社した廣中璃梨佳選手だ。
暮れの【全国高校女子駅伝】では2区を区間6位で走り、チームの2年連続準優勝に貢献した。
エディオン入社
長野東高校の大エースでひとつ上の先輩にあたる和田有菜選手が名城大学に進学するなど近年、大学に進み陸上を続ける有力ランナーも増えたが、萩谷選手は2019年に実業団のエディオンに入社。
高校時代も強かったがエディオン入社後の萩谷選手の活躍は凄まじいものがある。
まずは4月の【兵庫リレーカーニバル】女子グランプリ1500mに出場し4.23.85のタイムで2位に。
5月は【ゴールデンゲームズinのべおか】1500mに出場し4.19.73のタイムで3位。
更に2週間後の【中国実業団陸上競技選手権】では1500mに出場し4.23.35のタイムで優勝。ジュニア3000mでは大会新記録となる9.16.16のタイムでこちらも優勝している。
6月の【日本陸上選手権】では1500mに出場し自己新記録となる4.16.45のタイムで3位入賞を果たした。
勢いに乗る萩谷選手は7月のホクレンディスタンス北見大会3000mで自己新記録となる9.05.34をマーク。
初の5000m挑戦でで木村友香選手に競り勝つ!!
圧巻だったのは続く【ホクレン網走大会】。
初挑戦となる5000mに出場。このレースには【世界陸上選手権ドーハ大会】の派遣標準記録突破を目指し今年の日本選手権10000mを制した鍋島莉奈選手(日本郵政G)の他、同世代の廣中璃梨佳選手(日本郵政G)、伸び盛りの佐藤早也伽選手(積水化学)、更には今年の日本選手権5000mを制し同種目で世界陸上代表に内定している木村友香選手(資生堂)などが出場した。
かなりの強豪選手が揃い注目を集めたレースは1周74秒設定でペースメーカーが引っ張った。
当日は気温は20度を下回ったが風が強くホームストレートは風速5m以上の向かい風という厳しいコンディションだった。
レースは序盤から二つの集団に分かれた。派遣標準記録突破や好記録を狙う先頭集団の日本人選手は廣中選手、木村選手、鍋島選手、佐藤選手、その中に萩谷選手もいた。
各ペースメーカーが難しいコンディションの中しっかりと役割を果たし設定ペース通りにレースは進む。レースが動いたのは3400m手前。先頭集団から廣中選手と佐藤選手が少し離された。この速いペースでも萩谷選手は踏ん張り先頭集団をキープ。
しかし、残り1200mで萩谷選手と木村選手が遅れ、あとは鍋島選手が派遣標準記録突破できるかどうかという部分に注目が集まる。
鍋島選手は気迫の走りで派遣標準記録を僅かに突破。萩谷選手は遅れた後も踏ん張り日本人2位となる15.28.13のタイムでフィニッシュした。
鍋島選手は別格の走りだったが萩谷選手が木村選手に勝った事には驚かされた。タイムも非常に優秀でとても初の5000mとは思えない走りを披露。正直、かなり厳しいコンディションだったので現時点でも15.20.00くらいの力はあるように感じた。
今後への期待
萩谷選手は何故、ここまで強くなったのだろうか?
考えられる理由としては高校時代に怪我に泣かされ満足に練習を積めなかったが、それが却って良かったのかもしれない。高校時代に使い減りしなかった事が今の成長に繋がっている可能性もあるだろう。実際の所はどうか分からないが、実業団に入ってからこれだけレースに出場できているという事は怪我などの気になる部分が解消されているはず。
5000m初挑戦となったホクレン網走大会でも一番、厳しい組にエントリーしたように監督等もレベルの高い組で通用すると思っていた可能性が高い。
見た目や走りの部分では高校時代より身体が絞れたような印象を受けた。
日本人選手にしては脚が長く、足先の軽さを感じさせるタイプでスピードレンジは高そう。あとはラストの切れ味が付いてくると更に上を目指せる選手だと思う。
中距離が主戦場だと思っていたが初の5000mで結果が出た事により今後は10000mに挑戦する可能性もあるかもしれない。まだ若いので無理をせず身体の状態をしっかり見極めながらやっていってもらえたらと思う。
実業団選手という事で【クイーンズ駅伝】などでの走りも非常に楽しみだ。(全国統一予選会のプリンセス駅伝では1区に起用され見事、区間賞を獲得している)
東京五輪出場・5000m14分台に突入!!
念願だった東京五輪に女子5000mで出場を果たし自己ベストをマークした萩谷選手だが、その後も成長し続けている。
2021年9月の全日本実業団対抗の1500mでは4.11.34の自己ベストをマークし日本人トップの2着。
5000mではレース途中から外国人選手を引っ張る積極的な姿勢を見せこれまた自己ベストとなる14.59.36をマーク!!非常に内容のあるレースだった。
スピード系の練習をせず長い距離を走り込んだのが良かったかもと萩谷選手は語っていた。
タイムも素晴らしいがこれまで選手の後ろに付きラストの切れ味で勝負していた萩谷選手が積極的なレースをした事は今後に繋がるであろう。
長らく停滞していた感のある女子の長距離トラックだが田中希美選手や廣中璃梨佳選手がオリンピックで決勝に進出し萩谷選手も14分台をマークした事で着実にレベルが上がっているし周りの選手も刺激を受け全体のレベルアップにも繋がるだろう。
今後が非常に楽しみだ。
関連記事
