2019年9月15日に開催される。【MGC・マラソングランドチャンピオンシップ】
女子は15名が出場権を獲得したが世界陸上選手権女子マラソンに出場する3選手は出場辞退となり12名で争われる予定だ。
MGCは東京オリンピックのマラソン代表を決める重要な大会である為、非常に注目度が高い。
当サイトではMGC出場選手を1名ずつ紹介している。
第6回目となる今回は安藤友香選手をPICKUP。
安藤友香 プロフィール
名前 | 安藤友香(あんどうゆか) |
生年月日 | 1994年3月16日 25歳 2019年7月現在 |
血液型 | 不明 |
出身地 | 岐阜県海津市 |
出身校 | 豊川高等学校 |
所属 | ワコール |
身長・体重 | 160cm・42kg |
種目 | 自己ベスト |
3000m | 9.02.73 |
5000m | 15.32.67 |
10000m | 31.58.71 |
ハーフマラソン | 1:09.47 |
フルマラソン | 2:21.36 |
安藤友香選手は中学入学当初は陸上部ではなくハンドボール部に所属していたが部員数が多く試合に出場できる可能性が少ないという理由で陸上部へ。
シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんに憧れを抱いていたのも陸上部に転部した大きな理由だったようだ。
中学校時代は800m、1500mを中心に練習に取り組み、2年次(区間15位)と3年次(不明)に【都道府県対抗女子駅伝】に岐阜県代表として出場している。
中学卒業後は駅伝部創部4年目の豊川高校に進学。
【全国高校女子駅伝】では1年次に2区、3年次にエース区間の1区を走りチームの総合優勝に大きく貢献した。
高校卒業後は2012年4月に【チームミズノアスレティック】に入った。しかし、2年ともたず2014年に【時之栖】(ときのすみか)に移籍。時之栖時代は美人アスリートとして有名な宮田佳菜代選手と共に練習していた。
時之栖でも長くは続かず同年、【スズキ浜松AC】に移籍。
この移籍が安藤選手の転機となった。
忍者走りで初マラソン日本最高記録
スズキ浜松AC移籍後は里内コーチと二人三脚でフォームの改善に努めた。
元々は一般的なランナーと変わらぬ腕振りをしていたが、どうやったらリラックスして走れるかを試行錯誤し無駄な動きの少ない所謂、忍者走りに行きついた。(忍者走りとは腕をダラっと下げ、殆ど腕を振らない走法である)
この忍者走りがピタリとハマった安藤選手は初マラソンとなる2017年の【名古屋ウィメンズマラソン】で快挙を達成する。
レースは大会記録を上回るかなりのハイペースで進んでいった。
それでも、初マラソン挑戦の安藤選手は臆する事なく先頭集団でレースを進める。20km通過が1時間6分44秒。野口みずきさんの持つ日本記録から僅か1分遅れというハイペースで通過。
25kmからはペースメーカーも外れ、この大会2連覇中のキルワ選手と安藤選手のマッチレース。
33km過ぎにキルワ選手がペースを上げて徐々に離されはするものの、その後も粘りの走りで大きく離される事はなく日本人1位の2時間21分36秒でフィニッシュした。
この記録は初マラソン歴代1位の記録を塗り替えるもので安藤選手は大きな称賛を浴びた。
特にシドニーオリンピック、マラソン金メダルの高橋尚子さんは「末恐ろしい。上下動が少なくピッチを刻む。マラソンの完成形なのでは?」と絶賛。
この結果、【世界陸上選手権ロンドン大会】の派遣標準記録を突破し日本代表に選出された。
大きな期待を背負い出場した世界陸上選手権ではペースアップに付いていけず17位という成績で終えた。正直、2度目のマラソンが世界陸上選手権というのは少し酷であったようにも思う。しかし、初マラソンのインパクトが強過ぎたので期待するなというほうが無理な話だったのかもしれない。
MGC出場権獲得
3度目のマラソンは2018年の【大阪国際女子マラソン】。
MGCシリーズの1つであり、2時間28分以内で3位以内、2時間27分以内で6位以内であればMGC出場権を獲得できる。
レースは中盤を過ぎて前田穂南選手(天満屋)が一気に仕掛け先頭集団から飛び出す。この仕掛けに反応できなかった安藤選手は2番手グループでレースを進めるがその後、2番手グループから先頭の前田選手を追いかけ始めた松田瑞生選手(ダイハツ)にも突き放され結局、3位でフィニッシュ。タイムは2時間27分37秒でMGC出場条件をクリアし2019年9月のMGC出場を決めたが個人的には物足りない走りに感じた。
ワコールへの移籍理由
MGC出場権を獲得してはいるものの、初マラソン時のインパクトを考えれば、左足底筋筋膜炎の悪化もあり何とも言えない微妙な成績が続いていた安藤選手は2019年2月1日付けで【ワコール】に移籍した。
これが、安藤選手にとって3度目の移籍であった。移籍が続くと本人に何か問題があるのではないかと勘繰る人も多いが、前所属チームのスズキ浜松ACの指導者が一斉退任し苦しんでいた。移籍先を探す中で安藤選手自身がワコールを希望したという話もある。
安藤選手を育てた里内コーチは現在、【ノーリツ】の監督に就任している。ちなみに社会人になって4チーム目となるが安藤選手にとっては初めての実業団チーム所属となる。
ワコールを本人が希望した理由は定かではないがベテランの福士加代子選手がいて明るい印象のあるチームなので控えめなイメージのある安藤選手もチームの輪に入っていきやすそうな感じがする。
気になるのは忍者走り。移籍してフォームはどうなるのだろうか?
移籍後の【新潟ハーフマラソン】の映像を見る限りは以前と変わらぬフォームに見えた。(少し肘の曲がりが強くなったような気もするが誤差の範囲だと思う)
MGCも直前に迫り、今フォームを修正するというのは非常にリスキーなのでしないだろう。
移籍後は【ロンドンマラソン】を2時間26分47秒で走り13位。
【函館ハーフマラソン】では自己新記録となる1時間9分47秒で走り2位に。徐々に調子を上げているように見受けられる。
東京オリンピック女子マラソン日本代表の可能性
7月3日、日本陸連はMGCの上位5人の選手に国際陸連から参加資格が与えられること決まったと発表。即ち五輪参加標準記録を突破するのと同等とみなされMGCまでのタイムに関係なく上位2名が代表に内定するという分かり易い形式になった。
MGC本番で【東京オリンピック】女子マラソン日本代表に内定するには2位以内が求められる。
混戦が予想されるので出場選手全員にチャンスがあるだろう。
安藤選手は出場選手中、持ちタイムはNo,1。実力をフルに発揮できれば上位争いをしても全く不思議ではない。
ただ、何度も書いているように初マラソン以降の走りを見ると、あまり強調材料が無いというのも事実である。
そして、あの独特のフォームは省エネではあるが、スピードの切り替えやラスト勝負には対応できないのではないかという心配もある。最初から最後まで一定のペースでレースが進むのなら大いにチャンスはあると思うが、どこかで必ずレースは動くだろう。
なかなか厳しい戦いにはなると思うが環境が変わり心機一転、素晴らしい走りを披露してもらいたい。
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